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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(1)
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の補佐をしてもらう」
課長の言葉に皆が顔を見合わせた。やはり補佐というのが皆引っかかっている。
「アダー軍曹、ヴァレンシュタイン少将と副官、フィッツシモンズ大尉の机と椅子を用意して欲しい」
「はい、分かりました」
「以上だ、皆仕事に戻ってくれ」
そう言うとディーケン少将は机に戻り書類を見始めた。食えない人だ、私達が何を知りたがっているかなど百も承知だろう。それなのに素知らぬふりで仕事をしている。もっとも人事の裏事情など簡単に話せるものではないだろうし、聞くことも出来ない。
「さてと、机と椅子を用意しないと……。ヴァレンシュタイン少将(ぼうや)の机は課長の隣ね、副官の大尉の机は少し離れたとこに置かないと」
コルネリア先輩が指で場所をさしながら呟いている、ぼうやか……、先輩は少将を何時もぼうや呼ばわりして困らせていたっけ……、またあんな日が来るんだ……。でも今度はお邪魔虫の副官が居る。
ヴァレンシュタイン少将は将官になった時、副官を採用している。ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ中尉、いや昇進しているから大尉か……。名前で分かるけど帝国人じゃない、ヴァンフリート星域の会戦で反乱軍から亡命してきた女性士官だ。
少将よりも年上でかなりの美人らしい。二人が並んでいるととても目立つと聞いたことが有る。フィッツシモンズ大尉は亡命者だから帝国の事はよく分からない、そのため少将が何かと世話を焼いているという話も聞いたことが有る。面白くは無いが少将は優しいし、副官を気遣うのは止むを得ないと思う。だからそれは我慢できる、我慢できないのはその女が戦場にまで付いていくことよ!
反乱軍では帝国軍と違い女性も士官学校に入学し士官として前線に出て戦っている。彼女もそんな女性士官の一人だ。今回の戦いでも最前線まで付いて行ったと聞いた時には眩暈がした。なんて羨ましいんだろう、最前線で少将と一緒に戦うなんて。戦っている少将を一目でいいから見たい、どんな活躍をするのか知りたい、ずっとそう思ってきたのに彼女はいつも一緒なのだ!
どんな女性なのか確認しなくては……。少将の足手まといになる様な女性ならいかなる手段を取っても排除する。でもその前に、この人事の裏事情を確認する事が必要だわ。まさかと思うけど彼女がこの人事に絡んでいる可能性もないとは言えないのだから……。
「どうもシュターデン少将と上手くいってなかったようね」
「シュターデン少将?」
私の問いかけにコルネリア先輩が頷いた。そしてクッキーを一つ口に入れると満足そうに頬を綻ばせた。確かにここのクッキーは美味しい。
私と先輩は今兵站統括部の近くに有る喫茶店に居る。ここで先輩の恋人と待ち合わせだ。彼から今回の人事異動の経緯を教えてもらおうと言うのだけれど……、先輩、情報収集が
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