第33話
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上条は数秒ほど唖然として、すぐに麻生の部屋のドアに駆け寄りドアを叩きながら叫ぶ。
「まじで手伝ってくれ!!
この夏休み、いろんな不幸に巻き込まれて宿題の存在を今思い出したんだよ!!」
「そうなのか、大変だな、頑張れよ。」
ドア越しから麻生の適当な励ましが飛んでくる。
「本当に頼む、お願いします!!
夏休みが終わるまであと二四時間しかないんです!!」
その後も何度も何度も諦めずに麻生に助けを求める。
これでは周りの人にも迷惑が掛かるので麻生は大きくため息を吐くとドアの鍵を開けてドアを開ける。
「全部は手伝わない。
どれか一つだけ俺がやっといてやるから後は自分で何とかしろよ。」
上条の手から適当にプリントの束を取り上げて麻生は今度こそドアを閉める。
そしてベットに寝転がろうとした時ドア越しから上条の大声が聞こえた。
「ありがとうございます、麻生恭介様!!!」
それを聞いた途端に一気にやる気が無くなった麻生。
さらにさっきのやりとりのせいで眠気が素っ飛んでしまった。
御坂美琴は非常に困っていた。
午前七時三〇分に起床して朝ごはんを食べて今日が月曜日である事を思い出し、コンビニに行き漫画を立ち読みするまでは良かった。
学生寮を出て正面にあるコンビニに行こうとした時、横から男に話しかけられた。
「あっ、何だ御坂さんじゃないですか、おはようございます。
これからどちらへ?自分もよろしければ途中までご一緒しても構いませんか?」
美琴は何かものすごく苦手な物を前にした顔を必死に押し殺しつつ声の飛んできた方に振り向く。
そこには美琴より一つ上の背の高い男が立っていた。
線は細いがスポーツマンのような体型で、サラサラした髪に日本人離れした白い肌、テニスのラケットを握ってもノートパソコンのキーボードを叩いていてもサマになる反則的な容姿の持ち主。
海原光貴。
彼は常盤台中学の理事長の孫であり美琴が苦手とする人間の一人だった。
なぜ美琴が海原を苦手としているのにはちゃんと理由がある。
「あれ、どうかしたんですか?
気分でも優れませんか?」
「あ、いや、何でもないわ。」
彼は常盤台の理事長の孫という権力を使って女子校である常盤台の寮内や校内に入ってくることはない。
逆言うとそれ以外の場所では遠慮がない。
さっきも言ったように海原は理事長の孫なので、自分にもかなりの権力を持っているのだがそれを決して振おうとはしない。
美琴の高さに目線を合わせてから、対等な立場で話しかけてくる。
美琴からすればそれは「大人」として接してくるのと一緒なので、どこぞの高校生二人みたいにビリビリで対処するのは、自分がひどく子供のように見えてしまうのだ。
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