不器用な言葉
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それに屋根の上なんてダメ! 落ちちゃったらどうするの?」
「あのデコボコは気に入ってるんだが……」
「ダメだよ。せめて床で寝るの!」
「……」
ヴォルフはなにか間違っていないか? と思いつつも無言で足元を見る。食事部屋の畳とは違う板張りの床だ。妥協できる範囲ではあった。
「で、何の用で来た?」
「ヴォル君、何してるのかなって」
「……」
昼寝をしようと思っていた訳だが、その気はもう無い。そう思って窓の外へと目を向ける。
「ね、ちょっと出掛けない?」
「狩りか?」
「違うよ〜。町に行くの。色々見て回ろうよ。それに加工屋のお爺ちゃんも心配してたんだよ? 顔見せに行こうよ」
ヴォルフの言葉に神無は苦笑しながら答えた。
「それに何か美味しそうなものがあるかも……」
「行くぞ」
神無が言い終わる前に、ヴォルフは戸を開けて部屋の外へと出ていた。
「……食いしん坊だなぁ」
そんなヴォルフに呆れつつも、そんな反応が何処か子供染みていてカワイイと思った神無は、部屋を出てヴォルフを追いかけた。
ユクモ村の商店街は多くの村民や村を訪れた人々で賑わっており、とてもモンスターによる危険が増したとは思えないほどだった。
そんな中で、俺は神無に案内された出店で昨日食べ損ねた串団子を食べていた。
ほんのりとした甘みと、この餅という団子の独特の噛み応えが新鮮で実に美味しい。
桃色、白、緑と見た目でも楽しませてくれる上に、それぞれ味が違うというのも面白い。
俺は過去、これを食べたことがあったのだろうか?
「ヴォル君って甘い物が好きなの?」
隣でお茶を飲んでいた神無が話しかけてくる。取り合えず待てと手で合図しながら飲み込んだ。
「ああ。無人地帯では食料の偏りはどうにもならない。甘味は蜂蜜や木の実位で貴重なものだ。人里に降りた時には色々と食べたが……」
「どんなものを食べたの? 特に印象に残ってるもので良いから教えて?」
神無が興味を持ったのか少し身を乗り出して尋ねて来る。
「……細長い三角形で、専用のナイフとフォークで切り分けながら食べる物だった」
「ああ! それケーキだよ! 良いなぁ……この辺りじゃ職人さんがいないから滅多に食べられないんだよ?」
そうだった。確かケーキとかいったな。見た目がやたらと派手で甘味が濃かったのを覚えている。でも美味かったな。
「神無は食べたことあるんだな?」
「うん。結構前に職人さんが湯治に来てね。だけどその人道中にお金落としちゃったみたいでね、それで宿泊費代わりに作ってたの。材料とか器具は持ってたみたいだけど、村にある釜戸が作成に適してなかったの」
それでどうやって作ったのだろうか? 俺の疑問が分かったのか、神無が何処か嬉しそうに笑う。
「それでね、
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