45:だからもう、終わりにしよう
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これで二度目の、地震とも思える地の衝撃。地の爆発が巻き上がる。
その巻き上がる土砂で、大鎌を振り下ろしているユミルと、それを振り下ろされて倒れているデイドの姿が霞む。
「ハァ……ハァ……」
俺は、それを肩で息をしながら待つことしかできない。
やがてその巻き上がった土砂も、森の夜風や重力にしたがって薄まっていき……二人の姿が露わになる。
「……………」
やがて見えた、すっかり乱れてしまった金髪……ユミルは、大鎌を振り下ろした姿勢のまま硬直し、沈黙していた。
その大鎌の刃は…………デイドの首のすぐ横、彼の赤黒く染め抜かれたフードを突き刺す形で墜落していた。そのおかげでその体を吹き飛ばし、HPを全損させるには至ってはいなかった。
そしてそのデイドは……口から泡を吹いて気絶していた。白目を剥き、時々痙攣を起こしている。
……少しして、その頭の代わりに突き刺されたフードがバァンと破裂し、ポリゴンに散ったその様を見届けたユミルは、彼に向けて伏せていた頭をフラリと力なくあげた。その横顔は、夜風にサラサラと揺れる横髪で隠れ、表情が見えない。
「…………ちがう」
そして口を開く。
「ボクは……ちがうっ……」
その言葉は、俺のさっき放った言葉のどちらに対する否定なのかも言わずに、ぽつりぽつりと呟く。
「ちがうのにっ……。でも……ボク……」
その姿の大半を隠すほどに禍々しくなったエフェクトを纏ったまま……彼は、それとは正反対に静かなるまでに佇んでいた。
「コイツを、お前達を……殺したくて、復讐したくて、堪らない、よっ……!」
途切れ途切れに、恐らくは俺に話しかけている。
「……あは、あははっ」
笑う。
乾いた声で。
余りに儚過ぎる響きで。
「どうしよう……? ボク……ル、ルビーどころか……ベリー、まで……大切なもの、ぜんぶ、な、何もかも……失くしちゃ、た……」
そして。
「――ねぇ……どうしよう、キリト……?」
その顔を、俺に向けた。
「――――……ボク、もう……憎くて憎くて憎過ぎてっ……もう……わけ、わかんないや……」
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その顔は……笑っていた。
しかし……それは『笑顔』とは言えなかった。
言えるものか。
……涙で頬を濡らし、今にも壊れそうなこの顔を、笑顔と呼べるものか。
誰が認めるものか。これが、ユミルが俺達に初めて見せた笑顔だと……誰が認めるものか。
が……突然、その笑顔とは呼べぬ表情が、ぐしゃりと崩れた。
「あ"ァッ……!! あァァア"ガ"ア"ア"ア"ッッ!!」
ユミルは突如激しい頭痛が襲ってきたかのように頭を抱え、大きく髪を振り乱
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