暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
45:だからもう、終わりにしよう
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
し始めた。

「ア"ァアア"ア"アアッ!! 憎いっ!! 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いッッ!!!!」

 まるで壊れてしまった人形のように、同じ単語を繰り返し絶叫し始める。
 いや……


 ――――………………もう、ユミルはとっくに……壊れて、しまっていた。


「ユミル……お前っ……!」

 それを見た俺の目から熱い水が滲んで来て、それに顔を伏せてしまう。

 いや……もう、目を逸らしてはダメだ。
 俺は……彼を見なくてはならない。
 彼が戦う前に、俺に選択を迫った時から直視していなかった彼を……俺は顔を上げ、真正面から見つめた。

「キリト君……?」

 後方から、アスナが声をかけてくる。
 だが俺は、苦しむユミルを正面に据えたまま、クリアになった思考を巡らせていた。

 この子は、ほんの少し前までは、俺達と同じ……いや俺達よりも幼い、普通の……本当に普通の子供だったのだ。
 両親が大好きで普通に甘えて。友達が欲しくて普通に寂しがり。それでも気丈に人を信じ、可憐な笑顔を振りまいていた。 
 本当は素直で、情緒があって、感受性が豊かで、それでいて泣き虫で。
 なかでも取り分けて動物思いな、あんなに……あんなに心優しい子だったのだ。
 それが……

 こんなに……こんな、(ひど)い暗闇の姿にまで、汚れてしまった。

 あんな……あんなにも純粋で、あんなにも優しかったあの子を、こんなにまで壊してしまったのは。


 ――他でもない……俺達、人間だ。


 ――……なぁ、ユミル。

 この世は、こんなにも冷たい世界だ。

 さぞ失望したことだろう。
 さぞ絶望したことだろう。
 さぞ泣いたことだろう。
 さぞ辛かったろう。
 さぞ苦しかったろう。

 ……だから。


「……もう、いい。もういいよ、ユミル……」

 俺は、今まで頑張ってくれたボロボロの《エリュシデータ》を背の鞘に仕舞う。

「もう……これ以上、苦しまなくていい。だから――――これで、もう……終わりにしよう」

 そして俺は、もう一本の剣を引き抜く。

 青みを帯びた、白銀の剣――――《暗闇を払うもの(ダークリパルサー)》を。

「キリトさんっ……!?」

「ダメよっ、そんな……そんなのっ!!」

 背後からリズベット達の制止の声がかかる。
 だが……

「それじゃダメなんだッ!」

 俺は即座に叫び首を振った。

「俺達とユミルはっ……本当の意味で、真正面から向き合わなくちゃならない!!」

 俺のHPは、今までの戦闘で半分以下にまで削れてしまっている。
 対してユミルは9割以上を残しているが、外見では見えぬ数値上での惨状
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ