45:だからもう、終わりにしよう
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し始めた。
「ア"ァアア"ア"アアッ!! 憎いっ!! 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いッッ!!!!」
まるで壊れてしまった人形のように、同じ単語を繰り返し絶叫し始める。
いや……
――――………………もう、ユミルはとっくに……壊れて、しまっていた。
「ユミル……お前っ……!」
それを見た俺の目から熱い水が滲んで来て、それに顔を伏せてしまう。
いや……もう、目を逸らしてはダメだ。
俺は……彼を見なくてはならない。
彼が戦う前に、俺に選択を迫った時から直視していなかった彼を……俺は顔を上げ、真正面から見つめた。
「キリト君……?」
後方から、アスナが声をかけてくる。
だが俺は、苦しむユミルを正面に据えたまま、クリアになった思考を巡らせていた。
この子は、ほんの少し前までは、俺達と同じ……いや俺達よりも幼い、普通の……本当に普通の子供だったのだ。
両親が大好きで普通に甘えて。友達が欲しくて普通に寂しがり。それでも気丈に人を信じ、可憐な笑顔を振りまいていた。
本当は素直で、情緒があって、感受性が豊かで、それでいて泣き虫で。
なかでも取り分けて動物思いな、あんなに……あんなに心優しい子だったのだ。
それが……
こんなに……こんな、酷い暗闇の姿にまで、汚れてしまった。
あんな……あんなにも純粋で、あんなにも優しかったあの子を、こんなにまで壊してしまったのは。
――他でもない……俺達、人間だ。
――……なぁ、ユミル。
この世は、こんなにも冷たい世界だ。
さぞ失望したことだろう。
さぞ絶望したことだろう。
さぞ泣いたことだろう。
さぞ辛かったろう。
さぞ苦しかったろう。
……だから。
「……もう、いい。もういいよ、ユミル……」
俺は、今まで頑張ってくれたボロボロの《エリュシデータ》を背の鞘に仕舞う。
「もう……これ以上、苦しまなくていい。だから――――これで、もう……終わりにしよう」
そして俺は、もう一本の剣を引き抜く。
青みを帯びた、白銀の剣――――《暗闇を払うもの》を。
「キリトさんっ……!?」
「ダメよっ、そんな……そんなのっ!!」
背後からリズベット達の制止の声がかかる。
だが……
「それじゃダメなんだッ!」
俺は即座に叫び首を振った。
「俺達とユミルはっ……本当の意味で、真正面から向き合わなくちゃならない!!」
俺のHPは、今までの戦闘で半分以下にまで削れてしまっている。
対してユミルは9割以上を残しているが、外見では見えぬ数値上での惨状
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