第1章:王宮の戦士とヲタ少女
第2話:戦士の誇りと…
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(バトランド地方・イムル村周辺)
ライアンSIDE
驚いた事に、この可憐で美しく心優しい聡明な少女…マリーは、随分と旅慣れをしている様だ。
旅慣れだけではない…戦闘にも慣れており、私一人の時よりも大分戦闘が楽になった。
本人曰く『攻撃魔法しか使えない』との事だが、それで十分すぎる程の腕前である。
お陰で戦闘スピードも上がり、移動のスピードも向上したが、それでもイムル村までは遠く、今日はこの広い平原に立つ1本の大木の下で、野営を行い休息する事となった。
マリーの魔法で火を灯し、周囲の警戒を怠ることなく休息する…
とは言え、暖かい焚き火を囲み美少女と二人きりで食事をするなど…どうにもテンションが上がってしまうな!
「すまんなマリ−…一人で行動する予定だったから、大した食料を用意しておらんのだ。君の口には合わないだろうが、今日だけは勘弁してほしい」
私は無骨な携行食を火で炙りながら、お世辞にも女性の好みに合わない事を恥じてしまう…
「あらライアン様…私はモンスター蔓延る世界を、正義の為に冒険しておりますのよ。大きな町の小ジャレたカフェテラスで、優雅にお茶を嗜んでいるのとは状況が違います。本来お一人での行動を予定していたのに、急に加わった私の為に食料を分けて頂ける…それだけで感謝に絶えませんわ」
何という心の優しさだろうか!?
一見するとお上品な貴族令嬢の様に見える彼女…
しかし、我が儘を言うことなく置かれた状況を理解し、共に苦楽を共有する事の出来る少女………まさに理想的だ!
しかし…そうなると気になる事が……
「マリー…私の事を“ライアン様”と呼ぶのは止してくれないか?“様”付けで呼ばれる程偉くはないし、これから共に旅する仲間なのだから、もっとフランクに話しかけてほしいのだが…」
私としては少しでも親密度を上げたいと思う…
その一歩は互いの呼び方だろう。
私は年上である事から、当初より彼女の事を『マリー』と呼んできた…
彼女は礼儀正しそうだし、いきなり呼び捨てには出来ないだろうが、それでも少しはフランクな呼び方をしてほしい。
「あら…良いんですか?私としてもその方が楽ですし助かります…けど」
やはり礼儀正しい娘なのだな…
私に気を使っていたとは。
「構わぬよ。これから共に旅する仲だ…堅苦しいのは止めにしようではないか!」
私は持てる最大限の優しさと真摯さを前面に押し出し、マリーをリラックスさせる様努め話しかける。
「いや〜…助かるわライアンちゃん!ブリッ子するのは馴れてるけど、やっぱり面倒なのよね!」
………ちゃん?……ブリッ子?…面倒だと!?
「あ…あぁ…うむ…そ、そうだな…(汗)」
ず、随分と…此方へ踏み込むことに躊躇のない少女の様だ…
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