第十話 依頼内容
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です」
「ヨハネスさんよぉー。もういいだろう。早く今回の獲物の名前を教えてくれよ」
「おいブルボ黙って聞いてろ」
「ってか先のこと知りたいんだったら資料読めばいいじゃねぇーか」
「うるせぇ。文字読むの好きじゃねぇんだ」
少し俺から離れた丸テーブルにいる男がヨハネスさんの説明を急がせたが周囲にいた美食屋仲間達に諭されている。何というか見た目ゾンゲ様のような野性味溢れる男だ。……どっかで見たことあるんだよなぁ。あの人。
オホンとわざとらしい咳一つ吐いて騒がしくなった場を沈めるヨハネス。
IGOの人に悪印象を持たれるのを避けるためか一斉に皆静かになる。良い歳したおっさん達がまるで先生に怒られたくない小学生に見えてきたぞ。
「今回皆様に狩りをしていただきたい相手は―――象熊です」
一瞬の静寂の後またもや酒場が騒がしくなる。しかしそれは先程の楽しそうなじゃれあいによるものではなく戸惑いの声が殆どだった。ただそれだけの情報を聞いただけでやってられるかとヘビーロッジを出て行く者さえいた。
「なぁマスター。トモ蔵って何だ? お爺ちゃんか?」
「トモ蔵じゃねぇ、象熊だ。ゾウしか合ってねぇよ。って象熊も知らねぇのか!」
「生憎ね。まだ勉強中なんだよ」
「はぁトムの言ってた通りだな。力と知識が釣り合ってねぇわ」
仕方がないだろ。俺は美食屋に必要な知識や人脈は手に入れることが出来ない環境にいたんだ。まぁそのおかげで強さのみを重点をおいて集中的に鍛えることが出来たんだけどね。周囲に娯楽や勉強出来る環境があったら今程の強さは絶対になかったはず。なのでその事においては後悔はしてない。でもこれからある程度勉強しなくちゃな……苦手だけど。
マスターはやれやれと言わんばかりにカウンターに肘をつけ俺を見つめている。惚れるなよと言うと、やかましいと返してきてくれる辺りノリが良い人だ。
そんなノリの良いマスターの表情が真剣なものへと切り替わる。
「象熊。通称マンモスベアー」
「マンモスベアー……ねぇ。まさかリーガルマンモス級とか?」
「いや、そこまでデカくはねぇ。象熊を一番初めに発見した人が通常の熊より遥かに大きかったという印象でマンモスって名がついたらしいな。他にも幾つか説はあるみてぇだが」
「なるほどねぇ。よほど巨躯な印象が強かったんだな」
「そして世界一美味いとも言われている熊だ。一生の大半を穴の中で休眠して過ごし滅多に地上に姿を現さないことからほとんど幻の熊と呼ばれている。象熊は一回の休眠期間で平均四、五年。これに比べ活動期間は数ヶ月のみ。つまりその数ヶ月の間に四〜五年眠れるだけの栄養を食いだめし補充するってわだ。その量一日平均五トン以上。とんでもねぇ奴だ」
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