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FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
第二十一話 不安と恐怖と葛藤と…
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「ちっ相変わらず便利な能力だな」
俺のグラスに入った氷を忌々しそうに眺めながらもラクサスはグラスを口に傾け、愛用の葉巻に火を点ける。確か結構高級な葉巻だったな。紙煙草派の俺だが以前何となく立ち寄った葉巻屋でこいつの葉巻について店主に聞いたことがある。現在の最高級ブランドにラクサスが愛用しているコィーバをあげるマニアも多いのだとか。
「確か、その味わいはロマネ・コンティに例えられるほどだったか」
「……コィーバは良いぜ。ルシアもシガー吸うんだったらこれにするこった」
「考えとく」
一見俺とラクサスは仲が悪いように見えるが、周囲が思っている程悪くはない。お互い近い実力を持っているためか戦闘に発展する時も多くあるため仲が悪いと噂されているが、それ程険悪でもない。戦闘は憂さ晴らしに丁度いい相手なだけで恨み合って戦っているわけじゃない。
思いのほか仲が良いのは互いの趣味が似ているからだと思う。酒に音楽、葉巻や煙草。酒に関しては俺はワインが好きだが何でも飲む。ラクサスはウィスキーが好きだが何でも飲む。俺は煙草派、ラクサスは葉巻派。音楽は全く一緒の趣味でクラシックとロックが融合したものがお互い好きだ。何より共にいて沈黙が苦ではないというのも大きいだろう。が今は聞きたいことがあるのでラクサスに話しかけた。
「ところでギルドが騒がしいが何かあったのかよ」
「あぁ? まだ知らねぇのかよ。ナツが勝手にS級クエストに出かけちまったんだ。傑作だろ? こりゃあ帰ってきたら破門だな、破門。まぁ無事帰って来れたらの話だが」
「……なるほどな。だが誰かが止めに行ってんだろ。S級となるとエルザ辺りか。まぁ大丈夫だろ」
「ガキの尻拭いとはエルザもご苦労なこった」
どうやらエルザで合ってたようだな。この間のナツとの模擬戦で見た限りはあいつも随分と力をつけてきている。そうそうやられはしないだろう。そこに真面目なエルザが行ったのだ。無事に帰って来れるだろう。
「そういやぁ、グレイの奴も行ったみたいだな。雑魚が何人集まろうと雑魚には変わりねぇがナツ一人よりマシだろ」
「あの二人は戦闘に関しては相性良いからな。んで、あいつらどこ行ったんだよ」
よほどの場所じゃない限りエルザ一人向かえば十分だが、希に手に余る時もある。厄介な時は繁殖時だな。地域によって繁殖時は異なるから丁度その時期な場所ならば面倒なことになる。俺にとっちゃ極上の場所だが、エルザ一人では守りきれまい。
「――悪魔の島さ」
「まさか……呪われた島かっ!」
思わず勢い良く立ち上がってしまう。
よりにもよってガルナ島か。グレイにとっても考え深い場所なはずだ。もしかしたらそれを知っていてグレイは同行したのだろうか。
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