暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
第二十一話 不安と恐怖と葛藤と…
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 勿論手加減はした。デカログスも装備せずに戦い六星DBもよりえげつない使い方も出来たがしなかった。それは同じ仲間だからだ。しかし、最後のプラズマはどうだっただろうか。あれは完全に危なかった。あそこでエルザが登場しなければもしかしたら……。

 if、もし、もしも、そんな可能性の話は嫌いだ。嫌いだが。どうしても考え込んでしまう。あれは模擬戦だった。殺し合うような勝負ではない。それが分かっているのに俺はいつの間にか……

 考えただけでゾッとし、恐怖する。あれほど欲していた家族とも言うべき存在を、温かく迎え入れてくれたギルドメンバーを、グレイと仲良く俺に何時も突っかかってきた弟のような存在を、俺はいつの間にか


―――殺そうとしたのか


 手にしていた資料が足元に落ちる。それを拾い上げようと手を伸ばすも中々掴めず、ふと自分の手を見ると震えていることに気がついた。過去初めて自分以上のS級モンスターを対峙していたときの恐怖よりも遥かに恐ろしい恐怖と不安。もしかしたらこの時が初めてだったのかもしれない。手にしてしまったDBという力の強大さに恐れてしまったのは。

「お、落ち着け。そんなことをするはずがない。俺が何よりも求めていたものだろう。それを自分の手で手放すはずがない」

 自身に言い聞かせるように、まるで暗示でもかけるかのようにつぶやき、心を落ち着かせる。すると

「お、おい! 誰かいるのかっ!?」

 さっきの資料の落下音が聞こえたのか常勤していた警備員の声が聞こえ慌てて資料を本棚へと戻しDBによって急いで自宅へと転移した。普段ならばギルドへと戻るはずだったが、俺は何となくギルドを避けた。

 エルザに怒られたくないという免罪符を使い、自分の心を騙して。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 翌日、何とか心を立て直しギルドへと向かうと何時もとは違う騒々しさに違和感を覚えた。あまり元気がないと言えばいいのか。俺がギルドに入ってきたことに誰も気がつかないほど深刻な顔で皆が話し合っている。取り敢えず皆の邪魔をしないようにこっそりと気配を消しながらS級のみが上がれる二階へと登る。そこにはラクサスが一人酒を飲んでいた。

「よぉ、昼間っから酒とは良いご身分だな」

 自分でも分からないがラクサスに話しかけるときはいつも喧嘩腰になってしまう。

「はっ! てめぇも酒飲みに来たんだろうが」

 鼻で笑って返事を返したあとウィスキーをロックで呷っている。随分とご機嫌なようだ。そのままラクサスの真向かいの席に腰を下ろし、テーブルの上にある酒を了承を得ずにグラスに注ぐ。俺もロックで飲みたかったのでDBで氷を作り入れる。ちっ、先に氷を入れるんだったな、失敗した。

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