第七十八話
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夏休み明けにイタリアから護堂の元へと押しかけるように転校してきたリリアナ、エリカの隣にひかりの姉として同行した祐理が座っている。
そして、一列手前の一人掛けシート。つまりアテナの後ろにひかりが座っているのである。
ひかりは前に座っている自分と同じ年頃の少女に気安く話しかけている。アテナも最近は特に無礼を働かなければ会話を交わすのもやぶさかではないようで、ひかりが一人でしゃべっているような内容の会話にも時折相槌を入れている。
「な、なあ…あの万里谷ひかりが楽しそうに声を掛けている少女…あれはまつろわぬアテナでは無いのか?」
リリアナがこそっとエリカに問いかけた。
「ええ。間違いないく本人よ」
「…だ、大丈夫なのか?まつろわぬ神なのだぞ?」
「大丈夫なんじゃない?アテナがこの日本で暴れたのはゴルゴネイオンの一件だけ。それも人的被害は出していないのだし、今はこの国で騒ぎを起こす気はないそうよ」
と言うエリカの説明に一応は納得する。
「…では、あの助手席の女性は!?あの女性はヴォバン侯爵を石化させるほどの魔術師だろう?」
その質問は今更のような気がする。同じ学校に通っておきながら、リリアナは今まで護堂以外のことには余り目を向けていなかったらしい。
隣のクラスの人間なぞ、知ろうともしなかったのだろう。
「あら、リリィはヴォバン侯爵が身罷られた真相を知っているのね。…一般的にはアテナにやられた事になっている筈だけど?」
まさか吹聴などしていないだろうね、とエリカは問うたのだ。
「ただの魔術師がカンピオーネを打倒したなどと、どうして言えようか」
リリアナも頭の良い魔女である。その事実は余計な波風を立てると自重したのだろう。
「それが賢明ね。それと、彼女と接するときはカンピオーネと対峙していると考えた方が良いわ。ヴォバン侯爵を打ち負かした事は知っているようだけれど、護堂ですら赤子の手を捻るような感じでやられてしまったわ」
「なっ!?そうなのですか!?」
リリアナは護堂に詰め寄る。
「あ、ああ…。俺なんかじゃ歯が立たない相手だよ」
ヴォバン侯爵の事も有った為にリリアナはそれを信じることにした。
「彼女に面倒事は持っていかない。これが最善だと言うのがわたしの見解よ」
「了承した。しかし、草薙護堂に凶刃が及ぶのであれば私は全力で彼女を排除しよう」
「その時は精々壁としての役割を果たしましょうね。わたし達程度では壁の役目も出来ないのだろうけれど…」
とエリカは言い、若干の緊張を孕んでドライブは続く。
気付かないと言うのは幸せな事である。ひかりはアテナがまつろわぬ神と気付かぬままドライブを楽しんだ。
ユカリとアオ達は日光の適当な所
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