第4章 聖痕
第38話 邪神顕現
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ったのですが。
そうして、
「先ほどは、危ないトコロを助けて頂いて感謝の言葉も御座いません。御蔭で、我が主と共に、無事に虎口を脱する事が出来ました」
……と告げてから後、深々と貴族風の礼を行う俺。
この世界にやって来てから身に付けた特技。使う機会はあまり有りませんから、使える時に使わなければもったいないですからね。
「いえ、大して援護をする事が出来ずに心苦しい限りです。本来なら、あれの相手は、我らガリアの騎士の仕事のはずでしたが、私と私の配下では無理でした」
先ずはそう答えてから、片膝を付き、タバサの差し出した右手に軽く口付けを行うジル・ド・レイ。
それは、貴婦人と騎士の有るべき姿。
但し、双方とも、その豪華であった服装はあちこちが破れ、煤に汚れた状態であったのですが。
「いえ、ラヴァル卿の水龍と、貴方の配下による最後の蟲による障壁が無ければ、あの邪神は未だ健在だったでしょう」
そう。おそらく、あの水龍を操っていたのは、眼前のこの青年騎士。そして、あの緑色のドレスを纏った少女が、蟲に因る障壁を施してくれたのだと思います。
もっとも、この青年が水属性だと言うのは、彼の家名から推測した単なる当て推量なのですが。
俺の言葉に、流石に少し驚いたような顔を見せるジル・ド・レイ。そして、まったく表情を変える事のないタバサ。
矢張り、俺の知って居るジル・ド・レイと同じ名前だったか。ならば、種明かし。
「私の知って居るジル・ド・レイ男爵の正式な名前は、ジル・ド・モンモランシ=ラヴァルでしたから、そう問い掛けたまでです」
そう答える俺。但し、俺の知って居るジル・ド・レイとは、フランスの百年戦争時代の人物で、ジャンヌ・ダルクと共に戦い、救国の英雄として称えられた人物の事です。
もっとも、その最期は、宗教裁判により絞首刑の後、敬愛するジャンヌのように火刑に処されたはずなのですが。
ただ、当時の宗教裁判ですし、どうも胡散臭いトコロも有ると思いますが。例えば、本当に悪魔を崇拝していた人間が、キリスト教から破門されたぐらいで改心し、懺悔を乞うとも思えないのですけどね。
その理由は、俺ならば、キリスト教からも、ましてブリミル教からでも破門されたとしても屁とも思いませんから。
それに、その宗教裁判自体が、確か、当時のフランスでも一、二を争う金持ちだった彼の財産を狙った親族の聖職者による宗教裁判の判決だったとも思いますし……。
おっと、これは、地球世界のジル・ド・レイへの考察でしたか。
そして、この目の前の青年騎士が、地球世界のジル・ド・レイのような狂気に走る可能性は低いと思いますしね。
もし、地球世界のジル・ド・レイが本当に狂気に走ったのだとしたら、それは
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