第4章 聖痕
第38話 邪神顕現
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《俺》。その少し先、大体一メートルほど上空に現れる釘……ではなく、聖なる槍。
両腕を水龍により縛められ、その首をハルファスの風に、そして、下肢はサラマンダーにより封じられた邪神が……。
しかし、未だ戦意を失ってはいない、その赤き凶眼にて、俺と、俺の腕の中の蒼き姫を睨む。
刹那、ヤツの周囲に集まる炎の精霊。
そして、その一瞬後、俺とタバサを呑みこもうとするかの如き炎の塊が、その大きく開かれた口から放たれる。
この期に及んで放たれた邪炎は、今までのそれを、遙かに凌駕する呪の籠められている邪炎で有った!
最早、俺とタバサを護る者は無し。
一瞬の逡巡。如意宝珠『護』を壁盾の形で展開させ、それと同時にタバサが冷気陣を展開させれば、身を護る事は出来る。
但し、それでは術式が中断され、ヤツを送り返す事が出来なくなる。
それとも、このまま、聖なる槍に籠められた呪によりヤツの心臓を穿ち、それを点穴と為す事に因って……。
一瞬の判断が、何故か、永遠に感じられた正にその時!
滞空する俺と、牛角の邪神との間に現れる、小さな黒いモノ達。
「蟲?」
そう。それは本当に小さな、羽を生やした小さな蟲であった。しかし、それぞれが土の精霊を従え、何か大きな意志の元に統一された動きを繰り広げる数万、いや数十万の小さき生命体。
そして、その黒き蟲たちに、赤き呪いの炎塊が正面から突入する!
一瞬毎に燃え上がり、生命を散らせて行く小さき蟲たち。しかし、その度に、炎塊に籠められた呪を奪い去って行く。
その様は正に赤と黒の攻防。
再び右手を掲げるタバサ。その手の上空に現れる如意宝珠により再現された聖なる槍。
俺の中で暴走寸前と成った霊気を、タバサが制御する。
流石は、魔女の守護者ヘカテーに守護されし少女。俺本人でさえ扱い切れそうにない霊力を正確に誘導し、途切れる寸前の意識を持たせ、螺旋を駆け上がる霊力を全て聖なる槍に注ぎ込む。
俺と彼女の霊力の高まりを受けし聖なる槍と、そして、光続けている五芒星が更に輝きを増す。
そう、それはまるで、夜を昼へと変えるような光。
陰の気に支配されし空間を、陽気溢れる世界へと変えるような陽の霊気。
そして、ゆっくりと口訣を唱えながら、掲げられた右腕を、光り輝く五芒星の中心に水火風によって封じられている牛角の邪神に向けて振り下ろす。
刹那。俺の霊力を籠められし聖なる槍が、俺の気を指し示す蒼き光と成って放たれる。
黒き蟲たちの中心を貫き、赤き呪いの炎塊を粉砕し
刹那の後、その聖なる槍に籠められし呪の通り、牛角の邪神の心臓を完全に貫く!
その瞬間、世界が反転した。
穿たれた胸の傷に向かって落ち込ん
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