第4章 聖痕
第38話 邪神顕現
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中でも戦闘力の高い魔将ハルファスが、彼女の支配する風の魔力を解放したのだ。
その魔風の直撃を受けた巨体が一瞬、バランスを崩す。
その瞬間、俺の懐から取り出した木行符にタバサが息吹を吹きかけ放つ。
振り返った牛角の邪神が再び俺を捕らえようと繰り出して来る右腕を、空中を踊るような足さばきで左下方向に躱す。
その姿はまるで古の舞い。古に伝えられる舞いを踊るが如き正確な足の運び。
そして、定められし地点で、再びタバサが取り出して有った火行符に息吹を籠めて放つ。
更に続く足の運びに象徴される古の舞踏。
いや、それだけではない。俺の足が、有る動きを行うと同時に、タバサの自由に成っている両手が何らかの印を結んでいる。
俺が右膝を持ち上げると、タバサは、左腕を横に広げ、
左足を引くと、右手を正面に向ける。
ばらばらに見える二人の動きが螺旋を刻み、二人分の霊力を練り上げる。
そう。それは、二人を同期状態にして発動させる送還の術。
土行符を配置した刹那、邪神の三本の右腕がすべて赤銅に染まる。
ヤツは元々、火行に属する邪神。自らの身体を炎に変える事ぐらい容易い。
そして、無造作に振るわれる巨大な腕。いや、今回振るわれたのは、三本の右腕全て。
しかし! そう、しかし!
その炎を纏った右腕の炎が、一瞬後には全て輝きを失って仕舞う!
火気が強いこの場では、俺の式神のサラマンダーの能力も活性化している。そして、彼女は俺より能力を与えられし式神。木生火。火行に支配されし戦場で、相生によって能力を強化された、本来の陽の火を操る炎の精霊で有る彼女と、この世界には本来存在しない陰火の塊で有る邪神との炎を操る能力に関してはほぼ互角。
そして、そのままの勢いで俺とタバサを捕らえる右腕の一閃!
刹那。俺達の目の前に展開される防御用の魔法陣。
そして、俺とタバサを捕らえたと思った刹那、その攻撃が全て邪神へと返されて仕舞う!
物理攻撃を一度だけ反射する仙術が施されている以上、俺とタバサを打った威力そのままが邪神に返されるのが必定。
俺達を打った右腕の肘から先全てが爆発し、この世の物とも思えないような咆哮がこの身体すべてと、精神を打ち貫く。
撒き散らされた赤黒き体液が地上に落下し、不気味な煙を発生させた。
間違いなく、この戦闘の後に何らかの方法で穢れを祓う必要が有るが、今はそんな事を考えている余裕はない。
何故ならば、現在は術式を組み上げている最中。現世に顕現した邪神に対する強制送還を行う術式が簡単に完成する訳がない。
金行符を配置。俺の脚の運びと、タバサの腕の動きが同期し、呪符が起動状態と成る。
残るは水行符
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