第4章 聖痕
第38話 邪神顕現
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狂気。
そう。それは、神気。皮膚を泡立たせるような威圧感と、根源的な恐怖を喚起させる物の正体は、炎の邪神が纏いし神気に他ならない。
そして再び放たれる火球。
それは人間ではどうしようもないレベルの火球。所謂、津波や雪崩レベルの圧倒的な炎の奔流。
【タバサ。あの邪神を、ヤツの有るべき世界に送り返す。手伝ってくれるな】
俺の【念話】に、俺の腕の中でひとつ首肯いて答えと為すタバサ。
そう。相手は小なりと雖も神。無理矢理、受肉し現世に顕現した存在だとしても、殺す事が可能とも思えない。
まして、神殺しは大罪。どんな呪いを受けるか判った物ではない。
その刹那。空に向かい放たれた炎の奔流が、俺とタバサを包み込んだ。
しかし、その瞬間に発動する、神明鏡符。
俺とタバサを包み込んだ炎の奔流が、空中に現れし防御用の魔法陣に阻まれ、すべて、その術を放った炎の邪神へと返される!
【安倍晴明の呪詛返しを使った強制送還の術を使用する】
俺は、タバサにそう【念話】で告げながら、邪神との距離を一気に詰める。
但し、これは攻撃する為では無く、むしろ回避をし易くする為。
流石に、先ほどのレベルの炎を放たれると、回避し続けるのも難しく成りますから。
まして、あの手合いの邪神に直接的な攻撃は厳禁です。
何故ならば、あの手の邪神の伝承には、その体液一滴さえ猛毒で有る、と言う類の伝承が有ります。
そんな存在を、殺す事が可能だからと言って簡単に殺して良い訳がないでしょう。
この地域は、ワインが名産と言う事からも判る通り、本来ならばブドウ園とシテ河が育む豊かな田園地帯が広がる地域です。その地域で邪神を滅ぼし、その毒によってシテ河や大地を穢す訳には行きません。
「ハルファス。サラマンダー、ウィンディーネ」
咆哮と共に放たれる牛角の邪神の攻撃を躱しつつ、続けざまに三柱の式神を現界させる俺。
一撃ごとに呪を振りまき、俺達が躱すごとに、怨嗟の咆哮を上げながら、俺とタバサを追う邪神。
そして次の瞬間、顕われ出でる羽を持つ魔将ハルファスと炎の精霊サラマンダー、そして水の精霊ウィンディーネ。
「三柱は、俺とタバサの援護を頼む!」
俺の依頼に無言で首肯く三柱の式神達。
右斜め上から振り下ろされる大振りの右腕を、余裕を持った位置……大体五メートルの距離で躱し、その右腕が巻き起こす風圧に、吹き飛ばされないように体勢を立て直した瞬間、続けて突き上げて来る左腕を、邪神の巻き起こす上方への風圧を利用して、右斜め前方……つまり、牛角の背後に回り込む。
刹那、俺とタバサに気を取られていた邪神に、魔界よりの風が叩き付けられる。
そう。ソロモン七十二魔将の
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