第4章 聖痕
第38話 邪神顕現
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そして、その土煙が少し晴れた後、その女子修道院が有ったはずの空間に立つ影は……。
立ち昇った邪気が、星空を歪ませる。
そして、腐った肉と焦げた人肉の臭いが混じりあった、非常に気分の悪くなる臭気が周囲に立ち込めた。
小高い丘の頂点に立つそいつ。大体、体長十五メートル以上。巨大ロボットとまでは行きませんが、それにしてもあの大きさの二足歩行型の生命体が実在するとは思えない。
いや、おそらく、この世界の法に従った生命体ですらないでしょう。
……そう思わせる相応しい悪しき気を放つ存在で有るのは確かでした。
「六本の腕。頭の両側に付いている牛の角。人食いに相応しい赤い邪悪な両眼。巨大な黒い身体。
ただ、モロクと言う程の神格は感じる事がない。
ならば、ケモシとか、牛魔王とか呼ばれる連中の同族と言う感じか」
ほぼ独り言に等しい呟き。但し、俺の腕の中には、タバサが未だ存在しているので、完全な独り言と言う訳ではないのですが。
それに、何にしても人身御供を要求するタイプの邪神で有るのは間違い有りませんから。
何故ならば、自らが顕現する際に自分の信者の生命や、それだけでは足りずに、カジノの客達を贄にして顕現するような存在です。
刹那。獣の咆哮が響く。瞬間、周囲の空間に、膨大な炎の精霊の気配が充満する。
そして、次の刹那。圧倒的な力が、その六本の腕に集まって行く。
空間が歪むほどの圧倒的な力。……って、これはヤバい!
モロク系の邪神ならば、炎に焼かれた人身御供を要求する。
まして、牛魔王にしても似たような存在の可能性は有ります。ヤツは火焔山関係の話に登場する妖怪ですから。
つまり、ヤツは炎系の邪神と言う事。
牛角の邪神の六本の腕それぞれに火球、……直径で三メートル以上有りそうな代物を、果たして火球と表現すべきかどうか迷うトコロですけど、その火球が握られ、
そして、無造作に投擲された。
滞空する俺とタバサを向けて放たれた六つの火球が、一秒にも満たない時間で到達する。
変化も何もしない、ただ超高速のみに支配された破滅を彩る火球が。
しかし、こちらも全て精霊を従えた存在。更に、自らの時間を自在に操る事が可能とも成っている。
瞬間、下方に重力を向ける。
刹那、一気に十メートル以上の落下を行い、六つの火球を躱して仕舞う俺とタバサ。
しかし、通り過ぎた火球との距離は二十メートル以上有ったはずなのですが、前髪が熱風に煽られ、身体全体に巨大な熱源が至近距離を通り抜けた威圧感に恐怖した。
炎の塊を躱された異形の神が、怒りの咆哮を上げる。空気を振動させ、そして、それ以外の何かを奪い去りながら、遙か彼方にまで広がって行く
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