第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
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だった。
そう、これも一種の魔法。同じ形をしたモノは、同じ性質を帯びると言う魔法。
但し、俺やタバサが放った釘に関しては、通常の釘と呼ばれている代物と比べたら、かなり大きさの上で違う代物では有ったのですが。
何故ならば、それは人間を磔にする際に使用する釘でしたから。
更に、俺にしても、タバサにしても、一応、狙っているのは相手の経絡です。相手の経絡を封じて、その結果、動きを封じる。その心算で放っていますから。
もっとも、そこまでの精度を持って命中させられるほど、相手も鈍重な動きしか出来ない敵ではないのですが。
俺に、生命を救われた青年が、俺の方を見つめ、目線のみで礼を行う。同時に、打ち込まれた拳を、軽く紙一重の先に身体を延べて躱して仕舞う。
そして、拳を放って来た黒服と、その青年が交錯した次の瞬間、青年に襲い掛かった黒服の方が、カジノのホールへとその身を横たえていた。
数瞬の後。全ての抵抗が終了した。
その時、ホールの中央に立っていたのは、俺とタバサと、そして、精霊を纏って戦っていた青年のみ。
瞬間。精霊を纏って戦っていた青年が、右手を大きく掲げカジノ中に聞こえるような大きな声で、こう宣言する。
そして、その声の中に僅かばかりの霊気を感じる。そう、おそらくこの宣言は、恐慌に陥った場の雰囲気を、正常な状態に戻す為になした魔術。
「西百合騎士団副団長ジル・ド・レイ。王命により、このカジノの調査を行う。
全ての客とカジノの従業員は武装を解除して貰おうか」
恐慌状態に陥り、われ先にと入り口に殺到しつつ有った無関係のカジノの客たちが、その声に反応して、見つめる方向を唯一の外界との接点と成っているカジノの入り口から、ホールの中心に立つ一人の青年の方に移した。
そう言えば、われ先にと入り口の方に向かって行ったカジノの客達が、何故かそこから先に進めないのか、入り口のトコロで完全に足止め状態に成っていますね。
……と言う事は、
「抵抗は無駄だ。既にこのカジノの地上部分と、ここまでの間の通路。更に、裏口に当たる秘密の通路は西百合騎士団の騎士達が制圧している」
矢張り、予想通りの台詞を続ける、ジル・ド・レイと名乗った青年騎士。
尚、彼の名前が本名で、更に、地球世界に登場するあの御方の異世界同位体ならば、これは超大物の登場なのですが、流石にそんな事はないでしょう。
一応、家名までが同一ならば、彼はこの世界でのジル・ド・レイと成るのかも知れませんが……。
しかし……。そう、俺が考えた瞬間。
やや抑揚を欠いた乾いた笑い声が辺りに響いた……。
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