第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
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によって迎撃。
同時に右腕を振るったタバサから放たれた何かが、カード勝負のギャラリーと化していたカジノの客達を人質に取ろうとした従業員を床に縫い付ける。
こちらも、森の乙女に因って加速を使用している存在。この世界にあまねく存在する精霊を支配下に置いたタバサが相手では、精霊を支配下に置けない人間では相手になる訳がない。
その一瞬の後、突如始まった戦闘に、われ先に入り口に殺到するカジノの客。
俺の目、そして、タバサの目から見ると、超スローモーションのような非現実的な映像。
後ろから押されて倒れた不幸な女性客の上を、恐慌に陥った他の客達が踏み越え、更に、その後ろの客達によって、最初に倒れた女性客が踏み付けられ、くぐもった悲鳴を上げた。
それは正に悪夢に等しい場面。恐慌に陥った人が織りなす異界の風景。
そして、そのカジノの客達の中に不自然な動きを行う一人の青年。
カジノの客を人質に取ろうとした黒服一人を瞬時に無力化。
更に、そのスローモーションの世界の中で襲いかかって来る黒服を、一人だけ俺やタバサと同じ世界に存在する青年が、あっと言う間に床に叩き付けて仕舞った。
その身体を淡い燐光で包みながら。
そう、彼は精霊を纏い、更に活性化させていると言う事。
ナイフを片手に突き掛かって来る黒服の右手を軽く右斜め後方に体を流す事により、空を斬らせる俺。
そして、その男の空を斬り裂いた右腕を取り、そのまま相手の勢いを利用して、床に叩き付ける。
刹那、俺の背後にて上がる、くぐもった呻き。
後方より接近していたカジノの従業員の足を、タバサの放った細く長い金属製品が床に縫い付けて仕舞ったのだ。
「これは、釘?」
自らの右手を床に縫い付けた細長い金属製の物体を、信じられない物を見たように見つめる、暗殺者のエリック。
ほぼ数瞬の内に、たった三人の敵により、カジノ内に存在する黒服の半数までが制圧されると言う信じられない状況を目の当たりにしながら。
「聖痕が刻まれる存在としては、ナイフなどよりも相応しい投擲武器とは思いませんか?」
そう、エリックに対して告げながら、更に右腕を一閃。
何故か、このカジノのギャラリーに紛れ込んでいた異分子の青年を狙おうとしていたナイフを中空で弾き飛ばし、残った三本の釘が、ナイフを放った黒服の両の太ももと、手の平を撃ち抜いた。
但し、聖なる傷痕と、釘がどう言う繋がりが有るのかなど、この世界の住民に取っては意味不明の台詞だと思いますけどね。
そして更に、
「釘の痛みは原罪の痛み。私が知って居る本や伝承にはそう伝えられています。
それは、貴方がたに対しても効果が有るはずですよ」
……と続けたの
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