第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
[1/12]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「本来ならば、周囲の植物の成長を一気に進める方が、見た目的にも綺麗なのですけどね」
影の国の女王に対して、そう話し掛ける俺。
戦闘時の緊張が解け、戦闘開始前の状態に戻って仕舞った荒涼とした空間。そこに戦闘開始前とは見た目が完全に変わって仕舞った俺と、何時の間にかその有名な武装を仕舞い、最初に顕われた時と同じ、徒手空拳の自然な立ち姿と成ったスカアハの二人が存在するだけで有った。
ただ、多分、見た目的にはこの世界……この風が支配する荒涼とした世界では、この髪が伸びきった野生児、原始時代からやって来た少年と言う雰囲気は良く似合っているような気がしますが。
そう。現在の俺の見た目から言うと、日本刀よりは、槍の方が似合う風体と言った方が伝わり易いと思いますね。
荒涼とした、闇に支配される世界に吹く風に、闇色に染まった長い髪の毛が棚引いていた。
しかし、俺個人としては、伸ばした髪の毛が視界を遮り、頬や、その他の箇所に当たって、かなり邪魔なのは事実です。そして何より、一切、手入れが為されていないのでぼさぼさですし、その髪の毛が腰の下。大体、お尻の辺りにまで達していますから。
「俺の仙術は、基本的に木行を操ります。もっとも、所詮は髪の毛ですから、いくら身体を拘束しようとも一瞬の隙を作る程度の効果しか有りませんが。
但し、このような戦いの場での一瞬の隙は、勝負を決する隙となるものでしょう?」
流石に、髪の毛の簾越しに影の国の女王と話をする訳には行かないので、前髪を真ん中の部分で分けて、後に流しながらそう伝える俺。
それに、いくら、経絡を封じて気の巡りを悪くしたとしても、所詮、髪の毛は髪の毛。強度に関しての限度が有ります。確かに人間相手には絶対の拘束と成り得たとしても、相手は神霊。大きな効果を期待する訳にも行きませんから。
更に、相手の髪の毛を一気に伸ばして、それを操る事も出来たのですが、流石にスカアハ相手にそれが可能だったとは思えませんし。
もし、彼女に魔術抵抗をされたら、身体の中心を魔槍で貫かれていたのは俺の方でしたから。
尚、この現在の身体は魂魄のみの存在。故にあの違法カジノに残して来ている俺の肉体の方は、急に髪の毛が伸びている、などと言う事はないとは思います。
但し、原理上、そうだろう、……と言うだけで実際には試した事はないので、本当のトコロはどうなのか判らないのですが。
そもそも、脱魂状態のような、無防備で危険な状態には早々成る物では有りませんから。
……この状態が長く続けば、やがて死亡に至る。そう言う危険な状態ですから。
「貴方は、未だ何か奥の手を残して居ましたね」
戦闘の直後だと言うのに、
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ