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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十四話 激動と共に訪れる変化
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しかし、それは突如現れた杭に巻きついただけで当の本人ヴィルヘルムはその杭の上に佇立して笑っていた。
「ハッ、色々やるねえ。なかなか往生際が悪いじゃねえか」
「ああ、全く竹馬なんざ見たのはガキ以来だぜ。レトロ野郎」
軽口を交わしたのも束の間、再び始まる戦闘。しかし、その戦いは一方的とも言える。ヴィルヘルムが十の攻撃を仕掛ける間に司狼が反撃できるのは一度か二度。しかもその攻撃は一度も当てれていない。そして最も厄介なのは速さではなく杭だった。接近すれば槍衾、離れれば飛び道具、更にそれは防御や回避にも使われる。現状、致命打を当てれるとしたら接近して肉体に直接ぶち込むことだろう。
「つってもな……全身ハリネズミにどうしろって話だよ」
弄った銃弾は有効だが零距離で打ち込みでもしない限り決定打にはならない。相打ち狙いでも司狼が死ぬ確率が十割にたいしてヴィルヘルムは三割以下なのだ。
「―――となるとよ。オレもちょっと期待してるわけだよ。アイツに居るんだからオレにも当然居るんだろ。ちっとは家賃払えよな」
誰に語りかけてるのか。呟くように言ったその言葉はヴィルヘルムにも聞こえない程小さいものだった。
「オラァ、いつまでも見下ろしてんじゃねえ!!」
銃弾を連射する。その総てに聖遺物を宿していることは明らかだった。
「ほお、器用じゃねえか。最初は毒液、次は―――」
瞬間、デザートイーグルの弾丸である50AE弾が爆ぜた。
「―――針かッ!」
散弾のように飛び散ったそれは数十を超える針だった。一撃一撃の殺傷力こそ低いが目や口にでも当たれば唯ではすまない。
「ハッ、見え透いてんだよォ!!」
音速で迫る針を眼前数センチで総て躱す。人知を超えた回避能力、反射速度。しかし、
「どっちが―――」
回避した先には向かってくる巨大な車輪。
「―――阿呆が」
侮蔑と落胆、嘲りを交えた表情で反撃する。聖遺物同士のぶつかり合いは練度と強度で決まるのが常だ。つまり目の前の車輪は唯のでかい的でしかなかった。そしてそれが砕ければどうなるかは火を見るより明らかだ。
「―――グフッ」
「つまんねえ事やってんじゃねえよ。さっき俺が言ったことも忘れたのか、ああ?」
「心配すんなよ……試しただけだ」
「ああッ?」
「オレの聖遺物は一個潰されたぐらいで死なねえ……同時にこのぐらいの衝撃じゃ起きねえってことか」
これまで形成してきたものは鎖、針、車輪、桎梏、短刀、糸鋸、毒液、椅子、漏斗、螺子、仮面、石版。それら総てが拷問に使われる道具。つまり司狼の聖遺物はそれら総てでありそうでないともいえる。名を|血の伯爵夫人(エリザベート・パートリー)―――血を抜き、集めることに特化した、
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