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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 ティベリウスの忠義
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弾を受け既に事切れていた。その後も各地で部隊を何とかまとめているようだったが、戦力の差は絶大でとてもじゃないが勝てる見込みなど存在していなかった。

「ちくしょう、どうすれば。そもそも夜警の担当はあいつらだっただろうに何をしてたんだよ……「いたぞ、ドイツの奴らだ!!」クソッ!」

愚痴りながらも逃げに徹する。武器は拳銃とKar98kのみであり、追ってくる軍勢を相手に勝てるような装備ではない。必死に生き残りと共に逃げながらオスカー・ディルレワンガー隊以外の部隊の指揮官を探す。しかし、

「グッ!?」

一人の味方が脚を撃たれ、その場に倒れこむ。新兵であった彼はそれが人釣りであることを理解しながらも助けずにはいられなかった。

「大丈夫か!?」

しかし、まともに歩けない兵士を運びながら逃げ切ることなど出来ず、ソ連兵に追い詰められる。

「ク、ただで殺されてたまるか!」

せめて一矢報いようと敵に向けて拳銃を構える。だが、ソ連兵は見える範囲だけでも数え切れないほど居り生き残ることは絶望的だった。
そんな中、突然夜が変わりだす。まるで今までの夜が昼だったかのように暗く、重く圧し掛かる。

「おうおう、随分楽しそうな状況じゃねえか」

白皙の魔人、死森の吸血鬼。突如現れたその存在感に圧倒される。ソ連兵だけでなく彼自身もその横に抱えていた負傷兵すらも全ての人間が目の前の吸血鬼に圧倒されていた。

「て、敵は一人だ!撃ち殺せ!!」

隊長と思わしき人がそう命令する。命令に従った部下達は銃を構え撃ちだすがそれは意味を成さなかった。

「オラオラオラッ、もっと気張れよォ!」

放たれた銃弾は弾かれ見るからに負傷した様子は無かった。全員がその様子に驚愕するが白皙の魔人は気にすることなく敵に突撃する。
その後の様子は凄惨の一言に尽きる。彼はそれに驚愕しつつも同時にある種の納得をしてしまった。アレだけ強いのなら戦場に爪弾きされるのも当然だ。そして、その上で彼の心は囚われた。見てしまった以上、アレから逃れることは出来ない。彼に付き従いたい。彼に仕え続けたい。人一倍真面目だった故に彼はそれを直視してしまい、同時に理解したのだ。

その後、彼は中尉の部隊に転属を願い続けるもそれが叶うことは無かった。



******



ベルリンは焼かれ、一人走り続ける。

「こんなとこで死ぬなんて情けない」

あの吸血鬼なら戦場を駆け巡っていたことだろう。それだけに悔しい。彼はヴィルヘルムに仕えたかった。それが叶うことはなく、自分の命は今はかなくも消え去ろうとしている。

《じゃあ、諦めるのかい?そのままそこで倒れ伏して望みを叶えることなく死んでいくのか?》

否、否だ。そのような結末を認めたくは無い
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