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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 ティベリウスの忠義
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では一つ、皆様にこの世界の違和感をお伝えしようではないか。まず一つ、彼らは何者なるや否か?
そう『七皇帝の分体』の事だ。七といいつつもこの実態は六人だが、その中で一人、ティベリウスについてお教えしよう。

まず、すべからく彼らは全員が元となる人物を用意されている。彼らはその記憶を持ち、それぞれがそれを基にして人格を形成しているのだ。故に彼はヴィルヘルムに忠を誓った。では、つまらなくはあるだろうがそんな彼の話を見てもらうとしよう。正直、マルグリット以外、如何でも良いのだがね……




******



1943年8月、当時まだ新兵だった■■■■は彼らの戦いを見ていた。オスカー・ディルレワンガー隊によるパルチザン掃討作戦。その中で一人、吸血鬼がいるのを彼は見た。

他者からみれば虐殺としか言いようの無い景色。それは血と硝煙を含んでおり大半の人はそれを忌避したことだろう。だが、ここが戦場である以上、逃避などは認められない。新兵であっても仕事はいくらでもある。しかし、彼はそれら総てを捨て置いても認められないことがあった。そして、じきじきに隊長に訴えていた。

「隊長、彼らの行動を見逃せというのですか!!」

オスカー・ディルレワンガー隊、ドイツ人によって構成された部隊だが(一部ウクライナ人なども存在したが彼はそれを知らない)彼らはドイツ軍内部でもつまはじき者として扱われている部隊。そんな彼らが今回の作戦において参加しており明らかに虐殺行為とも言えることをしていた。それを許容できなかった彼は態々自分の部隊長の下まで来て、それを抗議しに来ていた。

「そうは言ってもな■■■■上等兵。上はあれのあり方を認めてるんだ。そうである以上、ドイツ人ですらない下士官の俺では文句の言いようも無い。諦めろ、それが戦場だ」

「そんな、どうにかならないのですか!彼らは捕虜を虐殺するどころか民間人にまで被害を加えているのですよ」

尚も引き下がることが出来ず自らの部隊長に彼は抗議を続ける。しかし、そんなことをいっても何も解決しないと部隊長は説得して止むを得ず彼は諦めることとなり、退室する。

「ああいうのが、上に就いてくれれば俺らも楽できるんだがな」

彼が退室した後、そう部隊長が呟いたという。



******



それからしばらく日がたち、敵が夜襲を仕掛けてきた。部隊は混乱に陥り、現地の民間人の生き残りも当然の様に反旗を翻す。夜で荒くれ者が多いという状況もあり、ドイツ軍はまともに態勢を整えることが出来ず、戦況は完全にソ連軍に傾いており、それどころか壊滅的な打撃を受け始めていた。

「隊長ッ、隊長ッ!無事ですか。すぐにでも部隊の再編を―――ッ!?」

彼は襲撃を受けた一角に訪れ、隊長を発見したが銃
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