十三話〜リニスの受難〜 3月25日修正
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ているかは分かるのに、マスターの感情は常に波が無く、限りなく平坦だ。
プレシアの感情は嫌になるほど激しい怒りとも憎悪ともつかないようなものが流れ込んでくるのに対して、マスターからはまるで森林浴でもしているかのような、何かに包まれているような優しい感じがする。
それでもマスターの本当の感情は分からない。
本音を話しているようで話していない。感情をさらけ出しているよぬに見えるのに実際は目に見えている事とは違っていたり……と、まるで掴みどころがない。
とうとう考えてもきりが無いことに気づき、一旦この件は保留にして、とにかくプレシアの居場所を探すことにした。
ある時を境に、急に肩が凝り始めて、マスターによく揉み解してもらったりして、
真剣にエステに行こうか悩んだりしていた時。
姿は魔法で偽れるから大丈夫だ。だが、金銭面の問題はどうしよう。
マスターはさりげなく無駄なことにはあまり使いたがらないから、どうやっていったものか。
そうやってぶつぶつ、一人言をしていたのを聞いていたのだろうか。
裾が引かれるのを感じて振り返ると、アリシアのような綺麗な金髪と透き通るような赤い目を持った少女。
「……リ、ニ………ス?」
フェイトだった。
あの子たちに出会った時に泣かれて少し焦ったけれど、元気そうで良かった……。
ジュエルシードの収集を手伝ってくれないかと尋ねられ、勿論了承したがやはりプレシアから真実は伝えられていないらしい。
あの頃と比べると大分魔力が落ちてまともに魔法を使うことも出来なくなったけれどなんとかなるだろうか。
それがこのザマだ。
「何でリニスが生きているのか……そんなこと今はどうでもいい。別に物語通りに進まないことなんてよくあるさ。……おい、俺をプレシアの所へ連れて行け。俺ならアリシアを生き返らせることが出来る」
「あなたなんかにそんなことが出来る筈ありません」
それ以前にその情報をどこで手に入れたというのだ。
「そんなにツンツンするなよ」
そう言いながら下卑た笑みを浮かべ、髪を触ってくる。
止めろ。怖気が走る。
フェイトと同じ歳とは思えない程に濁った笑みをする敵に嫌悪感が溢れだす。
執拗に撫でてくるその手を叩き落としたい所だが出来ない。
体は身動きが取れない程バインドされ、今の私では壊せない。
「触らないで下さい下衆野郎」
「……ははは。照れるなって。照れ隠しにそんな事を言っても少しは気にしないぜ」
……何を言っているのでしょうか。
「だけど、少しはその口を閉じていろ」
「閉じませんよ」
「なら俺が閉じてやるよ!」
そう言ってさっきまで髪を触っていた手で私の顎に手を当てて、固定させられる。
そして、敵の唇を
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