十三話〜リニスの受難〜 3月25日修正
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どり着くためにクローンとはいえ、自分の子供をただの駒のように扱う事が許されると思っているのですか。
……それに、あなた程の人が十数年の時を掛けてもクローンが限界なのに、現代より遥かに発達していたといわれるアルハザードの技術を理解出来る道理がある筈ありません。
だから、私が止めるべきだった。あの中で最も付き合いの長い私がプレシアをじっくり、ゆっくり、無理矢理にでも正気に戻すべきでしたのに、
フェイトにこのことが伝わったら、あの心優しくて少し精神的に弱いあの子の事だ。
きっと壊れてしまうだろう。
絶対にそれだけは避けなければならない。
決死の思いでプレシアに実力行使で訴えかけようとするも、魔力ラインを切られてしまい、更に魔力ダメージを与えられ、最早虫の息となった私は、運よく魔素が充満している世界に辿り着いて生き残れることを祈ってランダム転移を発動した。
そして、最早残存魔力も後わずか。にも拘らず辿り着いた世界は魔法文化の無い世界らしく、魔素も少ない。私の体を構成する魔素が散るのが見えていないのか、通行人はただの猫としか私を見ない。
既に諦めの気持ちが勝り、死ぬとき特有の芯から冷たくなっていく感覚に身を任せていた。
しかも幻覚でも見ているのか必死な表情でアリシアが何かを懇願しているような姿が見える。……もしかして私を迎えに来てくれたのでしょうか。
目を瞑って私の生を閉じようとした時……
そこで現マスターの邦介と出会った。
マスターは何も語らずに黒い魔力光を近づけ、私の体の気怠さを手早く取り除いた。
マスターが何故私を助けたのか分からない。
気づいたら私は「私の目的を完遂すること」という契約を結ばれて、マスターの家に居候することになっていた。
その頃からだろうか。妙に肩が凝ることが多くなってきたのは。
まあ、今はそんなことはどうでもいいのだ。多分胸が重い所為だ。
それよりもマスターの行動には不思議な点がいくつかある。
マスターの魔力量は元々、プレシアは愚か、フェイトにも届かないAランクだ。
そんな少ない魔力量で私と契約を保てていること自体驚きですが、それ以前にマスターにとって私を使い魔とすることにメリットは一つも無い。
マスターは一人暮らしに慣れていて尚且つ、魔導士としての実力も魔力ランクに見合わない程の実力を有している。
そんな私なんかが、教えることも手伝うことも出来ることなど無いというのに何故助けたのか。
そう言うと、マスターは必ず笑ってこう言う。
「なら、自分のやりたいことをやりなよ。あんな所で死にかけてたんだ。やり残したことがあるんだろう?」
何度聞いても答えは変わらない。
マスターと私は感情をリンクしているため、どちらもどんな感情を持っ
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