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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission6 パンドラ
(6) ニ・アケリア参道~ニ・アケリア霊山登山(分史)
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ルル……お前もか」

 兄弟は怒りと嘆き両方のリアクションを呈した。ミラが溜息をついた。

「あほらし」
「まあそう言いなさんな、ミラさんや。本人ら的には重要な問題なんだからさ」
「誰が主人かなんて動物のほうが決めることでしょ。現にこの辺の動物たちは、どれも昔出てった私の巫子に侍ってたわよ」
「巫子ってイバルだよね。出てっちゃったんだ……じゃあその動物たちの世話はミラがしてるの?」
「まさか。獣の野生は人間には縛れない。それぞれ森や山に散っていったわ」
「それ、賛成。ワタシも、動物さんのお家は樹で、土で、水で、空だと思う」
「初めてあなたと意見が合ったわね」
「合ったね」


 ――他愛ないおしゃべりが絶えなかったのは、きっとみんなが現実から目を背けたかったからだ。

 霊山頂上に到着すればミュゼを――時歪の因子(タイムファクター)を破壊し、この天地を永久に滅ぼさねばならない。その責はこの場に居合わせた人間全てが負わねばならない。
 世界を滅ぼす。抽象的すぎてどう背負い、贖えばいいか分からない事象を前にするのを、誰もが潜在的に恐れていた。

 だが、彼らの舌が停まらないように、足もまた止まることはない。幾度休憩を挟もうが、魔物と戦おうが、進み続ければいずれ――ゴールに着いてしまうのだ。

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