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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission6 パンドラ
(6) ニ・アケリア参道~ニ・アケリア霊山登山(分史)
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。無事だ。ルドガーは心から安堵した。

「で……どんな状況だこれ」

 追いついた男たちの内、アルヴィンが低く呟いて、ようやく騒ぎは収拾した。




「まったく! こっちは1分1秒でも時間が惜しいってのに。そういう段取りは先にしといてよね!」

 先頭を行くご立腹ミラをレイアが宥める。エルの件については、ルドガーとアルヴィンが交替で肩車をするという形で決着がついた。二人の男による肩車はユティにばっちり激写されたがそれは余談である。

「さっきはごめん。邪魔じゃないから。俺、エルがいないとすごくダメな男だから。でもエルに辛い思いさせたくなくて、空回った。ごめんな」
「ん、しょうがないからゆるしてあげる。今回だけだからね…………えっと、98、99、100! アルヴィン、コータイだよ」
「はいよっと」

 ルドガーが屈むと、エルはルドガーの背をずぞぞぞと滑り降りた。見てみたい、と思っていると背後でシャッター音。ふり返り、ルドガーはこっそりユティに親指グッのポーズを送った。ユティも同じしぐさで応えた。彼女のこういうノリのよさは大好きだ。

「ナァ〜」

 地面に降りたエルに対し、ルルが寄ってきて心配げな声を上げた。エルは「ダイジョウブ」と答えながらルルを撫でた。そこでふとエルは何かに気づいたように顔を上げた。

「ねえ。ルルの飼い主ってルドガー? それともメガネのおじさん?」
「ナァ〜?」

 ルドガーはユリウスと顔を見合わせた。ルルの単位は「我が家の猫」だったので、どちらが明確に飼い主かなど考えたこともなかった。
 だが、ここらで白黒つけるべきなのかもしれない。

「もちろん俺だよ。面倒見てんの俺だからな」
「やっぱり! ルドガーに一番懐いてるっぽいもんね」

 第三者からも支持を得た。ルドガーはユリウスを見てにやっとした。あからさまな挑発に、ユリウスもカチンと来たらしい。

「それは違うぞ。ルルがルドガーに懐いてるのは、エサを作ってくれてるからだ」
「うわユリウス大人げね」
「前提から崩しに来たっ」
「だがルルなら、エサ代を出している真の主人が誰なのか分かっているはず……いや、損得を越えた真心で繋がってるはず! そうだろ、ルル!?」
「そんなことないよな!? 仕事で全然いない兄さんより、飯やって遊んでやってブラシかけてやってる俺のが飼い主らしいよな、ルル!?」

 兄弟に詰め寄られてルルは縮こまる。

「んー。ぶっちゃけ、ルルはどっちが好きなの?」
「ナァ〜?」

 ルルはごろごろとエルにすり寄った。エルはぱぁっと頬を染め、ルルを抱き上げた。

「エルが一番だって!」
「毎日欠かさず猫じゃらで遊んでやってる恩を忘れたかーっ!」

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