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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission6 パンドラ
(6) ニ・アケリア参道~ニ・アケリア霊山登山(分史)
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張している。今までも休めとルドガーたちは言い聞かせたが、エルは大丈夫の一点張りだった。

(エルなりに俺たちに迷惑かけないようにって頑張ってるのは嬉しいんだけど、だからってそれに甘えきってちゃエルが倒れかねない。この子は8歳の女の子なんだ)

 水分補給を終えたエルに、ルドガーは背を向けてしゃがんだ。

「……なに?」
「ここからは俺が負ぶってく」
「だ、だめだよ!! エル、ひとりで歩けるし!」
「そんなこと言ったって、俺たちのペースで歩くのキツイんだろ。だから俺がエルを背負ってく」
「や……ヤダ! そんなのハズかしい!」
「恥ずかしいって何だよ。子どもなんだから素直に甘えとけ」
「コドモ扱いしないでー!」
「どっからどー見ても子供が言うなっ。――エル、別に俺はお前を責めて言ってるわけじゃない。ただ、エルに具合悪くなったり、足痛めたりしてほしくないんだ。心配して言ってるんだ。それでもだめなのか?」
「う…ぅう……だ、って…ずっと、ルドガーの背中、ぴっとり…くっついて…」

 エルはもじもじと答えを渋る。押してダメなら引いてみるか。ルドガーは心を鬼にした。

「あんまりしんどいなら、レイアかユティに付いててもらってここに残ってもいいんだ。ここまで俺の都合で引っ張り回してきたけど、よく考えたら危ないって分かってるとこまで連れてくのはおかしいもんな」
「あ…」

 エルの両の翠が見捨てられることへの恐怖でざあっと染まった。まずい、と気づいた時には遅かった。

「……分かったよ。ルドガーはエルがジャマなんでしょ!? じゃあエル下で待ってるから! 行ってらっしゃい!」
「エル、待ってくれ! そういう意味じゃない!」

 エルは坂の傾斜に任せて登山道を駆け下りる。ルルもエルに従って走る。ルドガーはレイアたちにこの場にいるよう言い置き、慌ててエルを追いかけた。

 大人と子供の足だ、じきに距離は詰められる。そう楽観視していたところで、

「っ、きゃあああああ!!」

 エルが岩の突起に躓いた。坂道降下の勢いもあって、エルの体は派手に宙に舞った。

「エルっっ!!」
「ナァ〜!!」

 ――あんな下らないことで口ゲンカなどしなければ。後悔がルドガーの頭に滲んでゆく。

 地面に落ちて壁面を派手にスライディングするしかなかったエルは――
 ちょうど山を登って来ていたアルヴィンとユリウスの内、ユリウスが逸早く状況を理解して、彼女をキャッチしたことで難を逃れた。

 エルが助かった。ルドガーは気が抜けてその場にしゃがみ込んだ。

「エル!」

 気を取り直し、ユリウスによって地面に下ろされたエルにまっしぐらに駆け寄り、小さな体を抱きしめる。どこも壊れていない
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