第十四話
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250隻を突入させる事で戦いの口火を切る。
【敵性体】は艦隊の前部に配置された30体を盾にして、残った艦隊は急制動をかけて減速すると密集隊形を解き展開すると、大量の小型種を放出し応戦体勢を整えた。
「思ったほど削れなかったか」
エルシャンは機体を最大加速で迎撃体勢を取る敵集団に正面から突っ込ませる。その加速はXSF/A-R1の本来の限界である150Gを大きく超え200Gに達する。だがその加速ですら今の彼には物足りなく感じた。通常の2倍のパイロット強化用ナノマシーンは彼の身体を蝕みつつも圧倒的な反応速度を与える。
『馬鹿な! 速過ぎる。リミッターを切ったのか?』
SF/A-311の2倍の加速で置き去りにされたパイロット達は驚愕に声を震わせる。
『これがフルント最後の男か』
古の戦場の勇者の如く、敵陣を一騎駆けするエルシャンの姿に恐れと憧れを覚えずには居られなかった。
『最終シークエンス実行中。恒星クラトの超新星化まで120秒後です』
アナウンスの声にをエルシャンは目を覚ますと、ここが見慣れた治療用タンクベッドの中だということにすぐに気付いた。
「そうか俺は……」
彼はXSF/A-R1を何度も乗り継ぎながら戦い続けた。鬼神の如く【敵性体】を蹂躙し続け戦場を支配する。
そして先遣隊の撃滅に成功すると、背後に惑星リオニク。そして激しく燃える恒星クラトを左手に配する宙域で後続の【敵性体】本隊を迎え撃つ。
先ず残された全航宙母艦を亜光速で艦隊の先頭に叩き付けてその前進を停めると、艦隊後方に居た敵要塞種の全てが目的宙域に達するまで他のパイロット達と共に敵艦隊を足止めし続ける。仲間のパイロットが予備機までも失い次々と再出撃が不可能になって数を減らしていく中でエルシャンは戦い続けたが、9機目のXSF/A-R1が撃墜されて、次の機体に乗り換えようとした時、ついに彼の神経組織が悲鳴を上げて異常パルスを放つ。
背骨に沿って稲妻が貫いたかのような衝撃に襲われたエルシャンはそのまま失神し、同調装置のシステムはエラーを吐き出し同調を強制遮断したのだった。
『司令官の意識回復を確認しました。お加減はいかがですか?』
「問題ない。状況を説明してくれ」
お加減なんて良いはずが無い。今も頭が割れてしまいそうな激しい痛みが間断なく襲い続けている。痛みを抑えるために麻薬効果のある脳内物質が過剰に分泌されて意識も飛びかける。
『恒星クラトの超新星化まで70秒。要塞種5体を含む【敵性体】艦隊の戦力96%を超新星爆発により破壊可能と推測されます』
「そうか、終わったな……」
マザーブレインの報告にエルシャンは満足気に笑みを浮かべると瞼を閉じる。
『これよりシルバ6および、司令官麾下の艦隊は当宙域より離脱します。目的地は新たな方
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