第32話
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
面が落ちてくる麻生を優しく抱きかかえるように受け止めたのだ。
それを見た神裂は足を止め神の力を見る。
神の力は胸から血を流している麻生を黙って見つめていた。
すると空に流星のような光が飛んでいき、その光は上条の家の辺りに落ちていく。
夜空に展開されていた「一掃」の術式は消えると神の力の身体は粉々に砕け散った。
神裂は上条が御使堕しの儀式場を破壊したのだと思った。
神の力の力が無くなったので、海も元の海水に戻るが麻生を抱きかかえていた氷も、元の水に戻ってしまったので麻生の身体は海の底に沈んでいく。
それに気づいた神裂は海に飛び込み、麻生を海から引き上げると急いで海の家まで運び救急車に連絡するのだった。
「ふむ、経過は順調みたいだね?」
「ああ、あんたのおかげだ。」
「僕は大したことはしてないよ?
それよりも傷口を見て正直驚いたよ?
なんせ臓器や重要な血管を傷つけることなく、まるで空いている隙間を通り抜けるかのように傷が通っていたんだからね?」
カエル顔の医者は心底嬉しそうに言う。
麻生が廃人になった時、一度この先生に見て貰ったのだが「冥土返し」と呼ばれた、この医者ですら麻生を元に戻す事が出来なかった。
ゆえに今回は麻生を助ける事が出来て嬉しいのだろう。
すると、麻生の病室の扉がコンコンとノック音が聞こえる。
麻生は答えなかったがカエル顔の医者がどうぞ、と答えると少ししてから神裂が入ってきた。
カエル顔の医者はもうすぐ退院できるからね?、と言って神裂と入れ替わるように出て行った。
神裂はお見舞いに果物が入ったかごをサイドテーブルに置いて近くのパイプ椅子に座る。
「傷の具合はどうですか?」
「傷に至ってはもうほとんど回復した。
明日には多分退院できるだろうな。」
そうですか、と言って安心したような顔をする神裂。
あの時は出血もひどかったのですごく心配していた神裂だがそんな恥ずかしい事を言えるわけがない。
「土御門の魔術で御使堕しの儀式場は破壊できました。
それとあなたに聞きたい事があります。」
「なんだ?」
「星の守護者とは一体何なのですか?」
星の守護者と聞いて麻生はぴく、と反応する。
「俺もよく分からない。
神の力に聞いたら少しは分かるかと思うが、あの時は完全に頭に血が上っていたからな。」
窓の外の景色を見ながら麻生は答える。
その後、長い沈黙が続く。
麻生は自発的に話す人間ではないし、神裂は神裂で何を話したらいいのか分からず徐々に緊張して、余計に何を話したらいいのか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ