GGO編
百六話 Encount
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女。名を、「シノン」と言った。
彼女が何故(恐らくは)敵であろうぼろマントの目の前で、倒れているのか。それは、彼女の左腕を見れば自ずと知れた。小さな針のような物が彼女のデザートカラーのミリタリージャケットの袖に突き刺さり、青白いスパークを発生させていたからだ。
あれは確か、「電磁スタン弾」と言う特殊弾で、命中した相手の動きをスパークで強制的に止める事が出来る。所謂「麻痺弾」だ。そんな物を打ち込んでシノンを麻痺させておいて、あんな小さな拳銃でとどめを刺す気なのだろうか?と言うか、彼女と一緒に居た筈のキリトは何処に行った?
嫌な予感を感じつつそんな事をリョウが思っていた時、ぼろマントの横顔が、彼の眼に入った。普通の顔では無かった。機械で作った骸骨のようなマスクをかぶっていて、両眼が赤く機械的に光っている。
スカルマスク。丁度、そんな言葉が似合うマスクだった。そうして、それを見た瞬間……
『仮想世界で銃で撃たれたら、死ぬ』
リョウの頭の中で何かが繋がり……
『顔は、なんかスカル系のマスクをかぶってた』
何かが弾け……
『ボロボロのマント着てたな……』
頭の芯が、カッと熱くなると同時に……
『彼奴のアバター名……』
考えるより先に……
『もしかしてシノンって言わねえか?』
体が動いた。
バンッ!!と音を立てて、リョウの体が空間を切り裂く。低空跳躍。この世界に来てからもお世話になっている跳躍力を最大限に生かして、リョウは跳ぶ。
既にぼろマントは撃鉄を起こしている。銃を構えて撃っても、シノンはどちらにせよ撃たれる。流暢に頭狙っている暇はない。ならば……!
吹っ飛んだ自分の体が一気にぼろマントとの距離を詰める。地面を蹴る音に気が付いたのだろう。ぼろマントが弾かれたように、此方を向いた。直後……
「!!?!?」
「よお」
バキャアァッ!!!
と、凄まじく鈍い音がして、ぼろマントの体がぶっ飛んだ。
リョウが、吹っ飛んだ勢いと筋力値の全てを込めて、そのスカルフェイスマスクの顔面を文字通り正面からぶん殴ったのだ
空中に浮き、軽く三メートルはぼろマントの体が吹っ飛ぶ。着地と同時にシノンをちらりと見ると、まだ撃たれてはいないようだった。少しだけ胸をなでおろすと、目が合う。大きく見開かれたその眼には驚愕と混乱、恐怖と諦めそしてほんの少しの希望のような物が宿っていて、リョウは二ヤリと笑うと、正面を向いて型のXMを構えると、引き金を絞った。
ビルの奥側に吹っ飛んだぼろマントはしかし、低空であるにも関わらず空中で体勢を立て直すと、そのままリョウに向かってスナイパーライフルでは無い方の、やけに丸いフォルムの銃を向ける。
リョウは知らないが、それはFN P90と呼ばれる短機関銃の一種で、正式にはPD
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