Episode3:邂逅
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同じ新入生)の座るベンチに腰掛けた。
「やあ、俺は九十九隼人、よろしくね。君は?」
隣で端末を仕舞っていた男性に再度自己紹介をすると、その翡翠の瞳が俺を見た。
その視線は何の感情も写さないまるで機械のようなもの。恐らくは俺の動きなどを見てどれ程の力を持っているか測ろうとしているのだろう。
観察をするような目は、一瞬で閉じられた。
「司波達也だ。よろしく」
「うん、よろしく……えっと、達也、でいいかな?」
「ああ、俺も隼人と呼ばせてもらうよ」
話してみて、見かけ通りの落ち着いた人だなと思った。ついでに言うと、凄いとも思った。
言葉遣いや、纏う雰囲気、そしてなにより、内に秘めるサイオン量が尋常ではない。しかもそのサイオンに一切の無駄がない。歴戦の魔法師のような、いやそれ以上の卓越したなにかを彼は持っていると、俺は直感的に悟った。
「それにしても、隼人はなんで先輩なんかと一緒にいたんだ?」
「えー、とね。あの背の高い先輩????市原先輩っていうんだけど、市原先輩が生徒会長である七草先輩を捜していたらしいんだ。それで、たまたま暇してた俺が手伝っていたから、一緒にいたんだ」
要約した説明に納得したのか、達也はなるほどと言って頷いた。なんか、妙にその仕草が似合う。だが、その口は怪しげに吊りあがっていた。
「俺は二人が付き合っているのかと思ったんだが、違ったのか?」
「な、なに言ってんの!?」
ある程度予想はしていたが、実際に言われてみるとやはり恥ずかしい。声を上げずに笑っている達也に、俺もなにか言い返してやろうかと考えたが、ちらっと見えた時計が指す時刻に、俺はそれを諦めた。
「そ、そうだ。速く講堂に戻らないと始まっちゃうんじゃないかな?」
「確かにそうだな…先輩方は……まだ時間がかかりそうだ」
「うーん……まあ、ほっとくわけにはいかないよね」
後ろ髪を掻き回しながら、俺はまだ言い合いを続けている会長と市原先輩へと歩み寄った。後ろで達也が溜め息を吐いていたけど、たぶん、お人好しって言いたかったんだろうな。
「七草生徒会長。市原先輩、そろそろ入学式が始まりますよ。早く戻らないと」
俺がそう言うと、市原先輩と七草生徒会長は同時に言い合いをやめ、同時に時間を確認した。明らかに、会長の顔に焦りの色が浮かぶ。
「あと20分しかないわ。リンちゃん、戻りましょう。達也くんも、隼人くんもアリガトね」
最後に、七草生徒会長はウィンクを一つして講堂へ歩き出した。
「それでは。九十九さん、お礼はまた今度に」
「え、いや、お礼なんて……」
咄嗟に断ろうとするも、市原先輩は俺にそんな猶予も与えず、七草生徒会長を追ってスタスタと歩いてい
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