Episode3:邂逅
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大な、眩い白いサイオン。もう一つは、青白い、一切の無駄を省いたような、洗練されたサイオンだった。これは、どちらも只者ではないね。
「市原先輩、見つけましたよ。多分」
「……本当ですか?」
訝しげな目をして俺を見てくる市原先輩。まあ、そりゃそうだ。ここからじゃあ、草木に阻まれて二人がいたベンチを肉眼で捉えることはできない。
「はい。えっと、あっちのベンチに魔法師の方が二人いると思います」
だがこればかりは信じてもらうしかない。
草木の奥の方を指差すと、市原先輩はまだ訝しげな顔をしていたがそちらへ歩き出した。俺も、その後ろをゆっくりとついていく。
少し歩くと、前方を阻む草の壁はなくなった。そして、見つけた。
一人は三人掛けのベンチに座っている男性で、もう一人はその男の人と向かい合って立つ小柄な女性だった。
隣を見ると、俺と同じくらいの高さの位置にある市原先輩の顔が少しホッとしたものとなっていた。
「あ、リンちゃん」
俺たちが一歩踏み出すと、足音に気がついたのか、それとも既に気配に気づいていて勿体ぶっていたのか、女性はすぐに振り返った。そして、市原先輩を見てそう言った。
『リン…ちゃん……?』と若干驚愕していると市原先輩は軽く溜め息を吐き出した。
「私をそう呼ぶのは会長だけです」
ああ、なるほど、と訳も分からず安心していると、生徒会長の視線が市原先輩から俺に移った。
「あれ?君は…新入生かな?」
「あ、はい。初めまして。九十九隼人といいます」
俺が自己紹介すると、後ろの男性の眉がピクッと動いた。生徒会長も男性ほどではないにしろ、少し目が見開かれたのが見れた。
恐らく、俺がどこの家の人間か気づいたんだろうな、などと思っていると、生徒会長は先ほどの動揺など微塵も見せず、今度はニンマリと、人の悪い笑みを浮かべた。
「リンちゃんは年下が好みなの?」
「はいっ?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまったのは俺。しかし、からかわれた当の本人である市原先輩はなれているのか、動揺した様子はなかった。
「そういう訳ではりませんよ。会長が何も言わずにふらっと何処かへ行ってしまったので捜すのを手伝っていただいていただけです」
キレイさっぱり、スッパリと否定されて男として少し泣きそうになったが、なんとか気を取り直して正面を見た。
「そもそも会長は、ふらふらしすぎです。何時もなら構いませんが、今日は入学式があるんですよ?」
「うー、分かっているわよ……あ、でも聞いてリンちゃん」
「でもも何もありませんよ、会長」
なんか、長くなりそうだな〜、と思った俺は、なるべく二人に気づかれないように市原先輩の横から抜け出した。そして男性(恐らく
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