Episode3:邂逅
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
す。
「ええ、少し目を離すとすぐどこかへ行ってしまうのですよ」
そう言う市原先輩の顔には苦笑いがうっすらと浮かんでいた。
「意外と、生徒会長はフットワークがお軽いようで……」
「全くです」
そう言って、同時に笑みを漏らした。きっと今頃、まだ見ぬ生徒会長さんはくしゃみでもしていることだろう。
☆★☆★
七草生徒会長の捜索を始めてから数分、あらかた校内を見て回ったものの、残念ながらその姿を見つけることはできなかった。
最後に、俺と市原先輩は講堂から程近い中庭に来ていた。
「う〜ん……いませんねぇ…」
「ええ……」
キョロキョロ見回してみるけど、もう入学式開始数十分前だからか、この場所には人影はまるで無かった。ここまで来ると、行き違いになったという可能性も高くなってくるけど。
「市原先輩……もしかして、入れ違いになってしまったのではないですか?」
俺がそう言うと、間髪入れずに市原先輩は首を横に振った。
「それは有り得ません。待機している他の生徒会のメンバーから連絡がありませんから」
「生徒会長さんに直接連絡することはできないんですか?」
そもそも、そんなことができていたらこんな捜す意味もないんだけど、取り敢えず聞いてみた。しかしやはり、市原先輩は俺の予想通りに首を横に振った。
うーん、市原先輩がいるから入学式に遅れることは無いと思うけど、生徒会長が不在とあっては入学式も始まらないだろう。
仕方あるまい。
「……しかし、ここまで来ると……仕方ありませんか、九十九さん……九十九さん?」
一度、目を閉じてから再び開く。
途端、視界に叩き込まれるは極彩色の情景。情報量過多のせいで頭に痛みが走るが、こらくらいの痛みならば耐えることは容易だ。
『世界の心眼』。一般には『精霊の眼』と呼ばれている先天的技能だ。
この眼に映る極彩色の世界は、魔法を構成するエイドスのプラットホームたる″イデア″の世界。
これならば、物質に遮られることなくサイオンの波動を追うことができる。
魔法を使わない、または使えない人でも多少のサイオンは保有しているが、魔法師の持つサイオンとは桁が違う。魔法を使えない一般人を基準としたとき、基準よりも活性化されたサイオン。それを見分けることができたなら、魔法師の特定は簡単だ。それも、生徒会長ともなればたぶん、他の人よりもサイオンは活性化しているはずだし。
そして、ぐるっと一周見回してみると、
「見つけた」
三人掛けのベンチの所に、二人の魔法師のものであるサイオンを見つけた。一つは巨
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ