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魔法科高校の神童生
Episode3:邂逅
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ったって覆るはずもない。

 ゆっくりと俺の思考を覆いっていく睡魔に身を任せ、やがて俺は深いまどろみの中に意識を手放した。



☆★☆★
                 



「……さい……きて………お……」

「ん、んぅ?」

 眠りに落ちてどれ程経ったのだろうか。誰かの声が聞こえてきて、俺は目を覚ました。ゆっくりと思考が活動を始めて、伏せていた瞼を開く。

「ああ、やっと起きましたか」

「へ……?」

 うつ伏せていた顔を上げると、見知らぬ上級生が冷静そうな顔の下に心配の色を浮かべて俺の顔を覗き込んでいた。

「うわっ、わっ」

 何時もなら有り得ない異常事態に、俺の心拍数は跳ね上がった。
 顔を上げたその先にいたのは、顔のパーツがちょっとキツめの美人のお姉さんだった。

「入学式に合わせて早く登校するのは良い心がけですが、こんな所で寝ていては風邪をひきますよ?」

 印象通りの、落ち着いた声だった。淡々と語られる情報に、上がり続けていた心拍は、徐々に落ち着きを取り戻していった。

「いや、あ、あはは。スミマセン……少し早く来すぎてしまって、やることがなくって暇で」

 特に用事もなく早く来過ぎた俺は、この先輩には奇異に見えたのだろう。白い目を向けられるが、なんとか我慢する。

「そうですね。暇なら、少々手伝ってもらいたいことがあるのですが」


「手伝ってもらいたいこと?」

 見れば、この女の人は恐らく、三年生、だろうか。でも、三年生が何故新入生である俺に?と思わず身構えると、女の人は仄かに苦笑いを浮かべた。

「いえ、ただ一緒に人捜しをして欲しいだけなのですが」

 あ、なんだ人捜しか。と露骨に安心した態度を見せた俺に、女の人は今度は薄く笑っていた。



☆★☆★
                    



「それで、誰を探してるんですか?」

 人捜しを始めて数分後。誰かも分からない人を捜すのは俺には少し難しいので、一緒に隣を歩く三年生に聞いてみた。

「ああ、まだ言ってませんでしたね」

 背筋を正したまま歩く先輩の姿
、相変わらずクールな人だな、と思う。
 濃紺の長い髪に、スラッと長い脚と指。
 この先輩の名前は市原鈴音さん、というらしい。

「捜しているのは、七草真由美。当校の生徒会長です」

「えっ、生徒会長ですか?」

 予想外の探し人に驚く。
 元第一高校の生徒会長、つまりはこの学校の生徒の中で一番偉い人。確かパンフレットで見たことがあった。
 確か?????、そう、″十師族″の七草家のご令嬢だったはずだ。

 ″十師族″とは、この国の魔法師社会を統率する一魔法師一族のことを指
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