第4章 聖痕
第36話 影の国の女王
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い。我、木行を以て、身を……」
軽い舌打ち……と言うには、やや大きな悪態の後にとある仙術の口訣を高速詠唱で唱えながら、導引を行う。
刹那。魔風が周囲を包んだ。
そう、つい先ほどまでそよとも吹いては居なかった場所で次の瞬間に、肉を裂き、骨を砕き、全てを巻き上げる暴風が吹き荒れる。それが、俺の戦い。
しかし!
そう、しかし。間一髪、俺の仙術が効果を発揮。俺を包み込み、切り刻もうとした嵐を無効化して仕舞う。
いや、風……嵐自体は、未だ俺の周りで荒れ狂って居ます。しかし、俺自身を、何故かその魔風自体がすり抜けて行くかのように成っていたのです。
その瞬間、俺の視界の右端に蒼き光の束を確認。
右側から襲う魔槍の突きを、右足を滑らせるようにして軽く踏み込み、紙一重で躱す俺。
そして……。
瞬間、光輝が弾けた。
俺を中心にして周囲に降らされた雷の雨が俺と、そして、紙一重で躱された槍……おそらく、魔槍ゲイボルグを横薙ぎに払おうとしていた影の国の女王を貫く。
当然、俺は電撃吸収。全ての電の気は俺の意志に従い、俺自身の糧と成る。
対して、伝承上に記されるスカアハには、そのような記述は存在していない。
俺は、その瞬間に、横薙ぎに払われようとしたゲイボルグを踏み台にして、上空へと一時退避を行う。
対して、スカアハの方も連続攻撃は危険と判断したのか、一時的に距離を取った。
「ほう。そなたも使えると言うのですか」
少し距離を取ったスカアハが、かなり感心した雰囲気を発しながらそう聞いて来る。
戦闘中とは思えないほどの穏やかな口調で。
……成るほど。何者を相手にした事が有るのかは知らないけど、あの仙術と同じような方法で、精霊の護りを貫く魔法を無効化した存在が居たと言う事ですか。
そう、仙術の中には、完全に風と同化して、風属性の攻撃を無効化する仙術が存在します。
当然、この仙術に関しては、風以外にはまったく効果が無いのですが、風に対してだけは絶対の防御と成ります。
問題は、術の効果を維持するには、ずっと印を結び続けなければならないだけ。
まぁ、どんな攻撃も絶対と言う物は無く、逆に絶対の防御と言う物も存在しないと言う典型的な例と言う事。
「女王は、嘗て、私と同じような術を行使する者と戦った事が有ると言う事ですか」
一応、そう聞き返す俺なのですが。それでも、スカアハならばそんな経験がないとは言い切れませんね。確か、伝承や昔話では、彼女に弟子入りを望んだ戦士たちの多くが影の国を訪れたはずです。
その中に俺のような術が使える人間がいないとは限りませんから。
尚、この仙術の他の五行に属する仙術ならば、当然、風以外にも無
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