第4章 聖痕
第36話 影の国の女王
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「ならば、先ず少年には私の奥義を覚えて貰いましょうか」
スカアハが、淡々とした調子で、そう口にした。
何の気負いもなく、何のてらいもなく。
確かに、相手がスカアハならば、そうなる事は覚悟していました。
ただ……。
「その前に、我が主人は無事なのでしょうか?」
状況にも因りますが、この世界……影の王国に魂魄のみが呼び寄せられたと言う事は、肉体はあのカジノの床の上に転がって居るのでしょう。
……タバサは俺の事を死亡したと思っているのでしょうか。
俺を蘇生させる事は、今の彼女の式神では無理。
……俺の死を哀しんで居る可能性が高いでしょうね。
そして、早く戻らなければ、彼女一人で、周囲の暗殺者達すべてを、相手にしなければならなく成りますから。
いや、それ以上に危険なのは、脱魂状態の俺の肉体に対して、トドメを刺される事。
無防備な俺の肉体に止めを刺された場合、俺の魂魄は戻るべき肉体を失って仕舞います。
そして更に、俺自身が、もっと酷い災厄を周囲に撒き散らせる事に成る可能性も有ります。
その理由は、現在、こんな場所に呼び出されたと言う事は、本来、あの場で俺は死ぬ運命には無かったと言う事。しかし、その運命を捻じ曲げた事によって俺が死亡した場合、そこに澱みが起こり、俺の龍種の能力を、仙人としての修行に因って開花させた能力が暴走を開始する危険性が……。
「この空間と、向こうの世界は時間の流れが違います。少なくとも、龍種の少年が戻るまでは、彼女は無事でしょう」
影の国の女王が、あっさりとそう答えてくれる。
確かに、彼女自身が何らかの依頼を行う為に俺を呼び寄せたのならば、その時間の間は俺の肉体や、そしてタバサの身に危険が迫る事は有り得ないですか。
つまり、彼女の答えに因り、多少の余裕は生まれたと言う事です。
まぁ、冥府の女神がいきなり現れたから、俺が死亡した可能性もゼロでは無いとは思ったのですが、それは杞憂に過ぎなかったと言う事ですね。
「それでは、今度こそ、私の奥義を覚えて貰いましょうか」
☆★☆★☆
俺が自らの生来の能力を発動させて肉体の強化を図るのと、スカアハを中心に嵐が発生するのとは、ほぼ同時で有った。
……って、これは多分、マズイ!
確かに、俺は青龍の属性を持っています。そして、青龍には風属性と、雷属性の攻撃は通用しません。
しかし、そんな事ぐらいは、スカアハならば知っているはず。
まして、風を統べる女神スカアハは、半端な青龍の俺よりも、風の精霊を統べる能力は上。
それでも尚、放って来たこの風属性の魔法が、並みの魔法で有る訳がない。
「ええ
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