第4章 聖痕
第36話 影の国の女王
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りませんか。現世に介入する事が出来て、その上、俺をその異界に引き込む事が出来る存在が、誰も居なかったはずの空間に突如現れたとしても、別に不思議でも何でも有りません。
それとも、呪殺を禁止して有ったはずの俺を、呪殺出来る魔法が存在していたと言う事なのでしょうか。
もっとも、その程度の疑問に関しても、今は良いでしょう。それに、今、口にすべき言葉は別の物だと思いますから。
「どうも、危ないトコロを助けて貰ったようで、ありがとうございます」
俺は立ち上がりながらその女性に感謝の言葉を告げる。流石に、両足を投げ出し、上半身だけを起こした姿で、妙齢の美女に相対す訳には行きませんからね。
尚、その時に俺の瞳に映った女性の姿は……。
年齢は不詳……。確かに二十五,六歳には見えますが、見た目など関係の無い存在のはずですからこう言う説明が正確でしょうね。髪の毛は……このうす暗い空間では黒く見えますから、金髪や、その他の特殊な幻想世界の住人を示す色合いではないとは思います。そして、その黒髪を軽く腰の辺りまで垂らし、切れ長で鋭い黒瞳を持った、少し冷たい印象を受ける美貌の女性でした。
ただ、その冷たい表情からは、感情と言う物を一切、読み取る事が出来はしませんでしたが。
尚、服装に付いては……。ツッコミを入れるべきなのでしょうか。魔術師……ケルトの魔女を思わせる黒の魔術師の帽子に、少し光沢を感じさせる黒の衣装と、魔術師の証のマントも黒。但し、肩を露わにした異常に露出の多い衣装。繊手を保護する二の腕まで隠す長い手袋も黒。脚は……足元も黒のブーツ。
全体として円錐をイメージさせる黒の衣装。
背徳と言うべき存在なのは間違いないですか。ここまで黒で統一されていたのなら。
しかし、先ほどの黒髪の少女の時ほどではないにしても、彼女からも日本人……と言うか、東洋人の雰囲気を感じさせる女性では有ります。
「すみません。それで、何故、私はここに呼び寄せられたのでしょうか?」
かなり、ずれた感覚。そして、異常事態に巻き込まれたにしては、泰然自若とした雰囲気で、その魔術師風の美女に問い掛ける俺。
尚、一応、そう問い掛けて見るのですが、まったく見当が付かない状態と言う訳でもないのですが。
そう。おそらくは、ヘカテーに夢の世界に招かれた時と同じような理由でしょう。
ただ、今、目の前に顕われている女性が、どんな神性を持っている存在なのか判らないので、何を命じられるのかはまったく判ってはいないのですが。
そして、
「貴方に頼みたい仕事が有って、少し現世に介入させて貰いました」
予想通りの言葉を口にする黒き魔女。
成るほど。矢張り、今回も魂魄だけの状態で拉致られて来た、と言う訳ですか。
適当に
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