第4章 聖痕
第36話 影の国の女王
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由からチップを積み上げたのかは判らないのですが。
……それに、これも当然、ルール違反では有りません。
確かに、合法のカジノならば、一度に賭けられる上限は決まっています。
但し、このカジノは青天井をうたい文句にした違法カジノ。そして、参加料プラス一枚でもチップが残っていたのなら、第十回戦に参加は可能。
いや、彼女には未だ身に付けた宝石の類が残されている以上、ここでチップをすべて失ったとしても第十回戦に参加は可能ですか。
しかし、穏当に勝とうと言う……。
そう思い掛けた俺の視界の隅で、先ほどの黒髪の少女が何かを呟くように口を動かすのが見えた。
いや、現状のこのカジノ内で、独り言に等しい呟きなど聞こえるはずはない。
刹那、魔力の波動を感知。
同時に、店内で行われていたディテクトマジックに因る魔法探知にも、何らかの魔法が使用された事を示す兆候が現れた。
一瞬の後ファントムを見つめる俺。
そのファントムの右手が何かを握る仕草を……。
そして、俺の視界が暗転したのでした。
☆★☆★☆
いきなりブラックアウトした意識が、ゆっくりと覚醒に向かう。
……って言うか、誘いの香炉の時もこんな感じだったと思うのですが。
今度は一体、誰に呼び出されたと言う事なのでしょうか。
寝転がったまま、月も星もない暗い夜のような空を見上げながらそう思う俺。
え〜と、確か、カード勝負に九分九厘勝利したと思った瞬間に視界が暗転して……。
俺は、少しため息にも似た吐息を漏らした後、上半身だけ起こして、ややボケたアタマを少し振りながら周囲を見渡した。
しかし其処は、何と言うか、……そう。妙に薄暗い、ごつごつした岩場がずっと続く荒涼とした世界が続く空間でした。
そう。植物が一本も生えていない……。いや、命有る存在を一切感じる事のない世界。
まるで、死を連想させるかのような世界で有ったと言う事です。
しかし、本当に妙な空間ですね。
周囲を一渡り確認した後に、そう独り言を呟く俺。
ただ、何らかの光源が存在しているのか、月も、そして星すらも存在していない空間のはずなのですが、ぼんやりとでは有りますが、鼻を摘ままれても判らないような暗闇に包まれた空間と言う訳では有りませんでしたが。
それに、先ほどから感じている嫌な予感は一体……。
そう思いながら、再び周囲を確認する俺。
「気が付いたかな、龍種の少年」
その刹那。死を連想させる荒涼とした世界に響く、落ち着いた雰囲気の女性の声。
しかし、先ほど確認した際に、その声のした方向には人は居なかったはずなのですが。
まぁ、その程度の事など、大した問題では有
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