第4章 聖痕
第36話 影の国の女王
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そうして、タバサが第四戦。ファントムが第五戦、第六戦と取って、現在、三勝三敗。
しかし……。
俺は、先ほどから気になっていた、ギャラリーの中に居る一人の女性……いや、少女の方向に視線を送る。
緑を基調としたイブニングドレスに身を包み、背中にまで届く長い黒髪。そう、見た目からでも判るぐらいに滑らかそうな黒髪です。……って言うか、この世界に来てから、現地の人間としては、三人目の黒髪の人間ですね。
それで顔立ちに付いては、……古風な顔立ちと表現すべきですか。少なくとも、西洋風の人間が集まっているこの世界で、彼女のような東洋風の清楚で古風な、と表現すべき面差しは、日本出身の俺としては、見ていて非常に落ち着いて来るような気がします。
もっとも、何故か、表情、及び雰囲気が少し暗いのですが。
そして、何よりも不自然なのは、俺が、彼女から人間とは違う気を感じていた事ですか。
但し、暗い雰囲気なのですが、危険な雰囲気と言う訳では無く、落ち着いた雰囲気と表現すべき雰囲気なのですが……。
【なぁ、ダンダリオン】
シャッフルの終わったカードを配りながら、【念話】のチャンネルをダンダリオンに繋げる俺。そして、
【あそこに居る黒髪の女性なんやけど……】
そう告げながら、カードを配る際に切って仕舞った視線を、再びその黒髪の少女の方に戻す。
しかし、そこには……。
【その黒髪の女性と言うのは、何処に居ると言うのですか、シノブ】
先ほどまで確かに彼女が居たはずの場所には、まったく別の男性が立って居り、清楚な雰囲気のその少女は何処かに消えて仕舞っていた。
【だから、あれほど、さっさと新鮮な空気を発生させろと言ったのです】
少し呆れたようなダンダリオンの答え。
……いや、多分、俺は幻覚を見た訳ではないと思いますよ。
それに、確かに其処に実在する雰囲気を俺は感じていましたから。なので、間違いなしに、何らかの人の姿を模した何者かが其処に居たとは思うのですが。
もっとも、その少女からは、危険な雰囲気を感じる事は無かったので、そう警戒する必要はないとは思いますが……。
そうして、勝負の結果は。
ファントムの役は、5・6・7・8・9のストレート。
ただ、タバサは素直に降りて居たので、被害は参加料のアンティだけに終わりました。
しかし、ここに来ての三連敗で三勝四敗。勝負に出ての敗戦が無いので、勝利した結果得たチップの枚数に関してはタバサの方が確実に上だと思いますが……。
……但し、今回の敗戦については俺のミスです。別に、その黒髪の少女が好みの相手だったと言う訳では無かったのですが、それでも少し、その少女に気を取られ過ぎて、勝負の方が疎かに成って仕舞
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