第4章 聖痕
第35話 仮面の支配人ファントム
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だ瞬間に瞳に映るテーブルの上の状態。そこには、このカジノの用意した軽食とワインを取った形跡が残されています。
その瞬間、黒服からは、ほんの少しの黒い感情が発せられた。
但し、表面上は一切、そんな感情を伺わせる表情を作る事など無かったのですが。
そして、
「御休憩中の所、誠に申し訳御座いません。宜しければ、この店のオーナーが御二方と是非とも話がしたいと申して居りますので、少し御時間を頂けないでしょうか?」
……と言う、非常に丁寧な口調で、これから先の波乱万丈な展開を予想させる内容を口にしたのでした。
☆★☆★☆
少し昏い廊下用の明かりの下、馬鹿丁寧な。いや、取り様によっては慇懃無礼とも取る事が出来る黒服の後に続く俺とタバサ。
当然、最初からその心算でしたから、黒服の案内する後を付いて行ったのですが。
しかし、もっと違った台詞と言う物は存在していないのでしょうかね。
こう言う場面で語られる、
「少額のレートでは面白くないでしょう」
……と言う決め台詞は。
もっとも、今回は、阿吽の呼吸と言うヤツで、黒服の申し出を少し渋った後に、オーナーの話を聞いてから判断する、と言う形を取ったのは事実なのですが。
やがて、このカジノの一番奥。但し、場所としては、階段を上がって来た事から推測すると、一番地表に近い部分と思われる場所に存在するオーナーの執務室に案内される俺とタバサ。
そして、一拍の呼吸を置いた後、ノックを三度行う黒服。
但し、何故か返事が聞こえる前に扉を開いた。
……いや、もしかすると、三歩ほど離れていた俺の耳には、室内から発せられた返事が聞こえなかった可能性も有りますし、それに、今回の場合は、元々、中にオーナーが居るのは確実ですから、三度のノックは単なる合図に過ぎない可能性も有りましたか。
それで、俺とタバサが居た豪華な客室とは違い、それなりにお金は掛かっては居そうですが、それでも見た目からして派手な、とは表現しない重厚な扉の向こう側で、一人の人間が俺とタバサの到着を出迎えてくれました。
その人物は、わざわざ俺達の事を立ったままで待っていたらしく、スラックスには一切の余分な皺と言う物を見つける事は出来ませんでした。
ざっと見た感じから言うと、身長に関しては俺とそう変わらない雰囲気ですから、180には届かないぐらいでしょうか。かなり華奢な体型で、従業員達と同じく、黒を基調としたシックなスーツ。……俺の衣装がタキシードで、基本的に夜間に開かれるパーティに着て行く礼服で有るのに対して、このカジノのオーナーが着ている衣装は、貴族の乗馬服を少し改造したかのような服装で、地球世界ではモーニング・コートと呼ばれる昼間用の礼服に似ているよ
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