SAO編−白百合の刃−
SAO2-黒と白
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早く食べたい。
キリト、アスナに続いて、私達も『ラグー・ラビットの肉』が入ったシチューを口の中に入れ、味を確かめる。
「……こ、これはっ!?」
思わず、スプーンを落としそうになった。
「めちゃ、めちゃめちゃ……美味しい!!」
柔らかい肉に歯を立てて、溢れるように肉汁がほとばしる。『味覚再生エンジン』とか様々な物を食う感覚を脳に送り込むとか、システムが脳の感覚野を盛大に刺激しているだけにすぎないとか、そんなシステムなんか、どうでもいいんだよ! 今食べているシチューは、過去最高の美味なんだ。機械がどうとか、ゲーム内だろうが、食べているだけで感動して涙が溢れそうなのよ。これくそ三大欲求の一つ、食欲。
「これ、めちゃめちゃ美味しいよね!」
「「「…………」」」
「み、みんなもそう思うよね!」
……あれ?
何で無視する? 食べることに集中しているの?
「あ、ドウセツはお上品に食べるのね。美味しい?」
「黙って」
「いや、人数もそれなりにいるのだしさ、お喋りしながら食べるのも……」
「黙って」
「え、えと」
「黙って」
「……はい」
その後、私達は一言も発することなく食べることに集中して黙々と美味を味わった。
●
「ああ……今まで頑張って生き残っててよかった……」
じゃあ、私はこれで……」
食べ終えたアスナの感想を余所に、お上品に食べ終わったドウセツは立ち上がって去ろうとする。そんな彼女を私は彼女の腕を掴んで引き止める。
「え〜待ってよー、もう少しいてよー」
「好きでついてきたわけじゃないんだし、もう用がなくなったわ」
「だからって、私達仲間でしょー? つれないこと言わないで、まだ一緒にいようよー」
ほら、よく言うでしょ。同じ屋根の下で美味を口にしたら仲間って、さ。
「それ、なんか間違っているだろ」
「うっさいなー。“兄”もお茶をすすりながら発言してないで、一緒に楽しもうよ」
この時、私は余計なことを、声を大にして漏らしてしまった
「「兄?」」
……家の雰囲気のせい……かな? 隠そうとしてきた呼び方を、アスナとドウセツの前で、普段の呼び方をしてしまった。
ごめん……兄。
「あ、兄貴分だよ。そ、そうだよな、キリカ?」
諦めていた私は、なんとか誤魔化そうとしたので、私は諦めずにそれに乗ることにした。
「う、うん! そうだよ。兄貴分の兄だから、兄なんだよ! ねぇ、兄」
「おう、キリカ」
慣れない、誤魔化しかたにアスナは納得したようだけど、ドウセツは私達の心を透視するように淡々した口調で言った。
「さっきまで互いに名前呼びなのに、今さら“兄”呼ばわりするのは変ね」
「「うっ」」
「
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