第29話
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自然に欠けている前歯と犬歯に気にも留めなかったが、あの少女がペンチで強引に引き抜いたのだと分かる。
火野は少女の動作に思わず一歩二歩と下がり、湿った革布を取り出し刃から塗れた血を拭い去ると手の中にある三日月のナイフを赤い少女に向かって投げつけた。
赤い少女はその三日月のナイフを簡単に避ける。
すると、ナイフは少女の後ろにいる麻生の顔面に向かって飛んでくるので麻生も簡単にかわす。
すると、ナイフは麻生の後ろにいる上条の顔面に向かって飛んでいく。
「え?」
思わず呟く上条。
麻生もしまった、と思うが既に遅くナイフは上条の目前へと迫り来ていた。
「うわっ!!」
とっさに転がるように回避したが三日月のナイフは上条の頬を浅く切り裂いた。
それだけの筈なのに次の瞬間には上条のバランス感覚が揺らいだ。
全身から嫌な汗が噴き出して船酔いみたいな吐き気が襲いかかる。
(ど、く?くそ、刃物に何か塗って・・・っ!!)
麻生は上条の様子がおかしい事に気づき上条の名前を呼ぶが、既に上条の耳では麻生が何を言っているか分からない。
火野神作は笑い声をあげて海の家の外へと飛び出していき、赤い少女も追うかどうか迷ったようだが上条の方へと駆け寄りナイフでできた切り傷に唇を当てる。
傷口から毒を吸い出しているのだと麻生は考えていると、入り口から騒ぎを聞きつけたのか神裂と土御門がやってくる。
二人は広間の惨状と赤い少女が上条の頬に唇をつけている事に驚いたが、麻生が説明すると納得の表情をする。
赤い少女は上条の頬から唇を離す。
どうやら毒は全て吸い出したようだ、改めて麻生は赤い少女を観察する。
緩やかにウェーブする長い金髪に白い肌、これだけを見ると可愛らしい少女なのだが身につけているモノ全てが異様だった。
本来なら修道服の下に着るインナースーツの上に外套を羽織っただけ、しかもインナースーツと言ってもほとんどワンピース型の下着みたいなもので華奢な身体のラインを誇示しているように見える。
しかも身体のあちこちに黒いベルトや金具がついていて拘束衣としても使えるように作られている。
さらには太い首輪から伸びた手綱、腰のベルトには金属のペンチや金槌、L字の釘抜きやノコギリなどが刺さっていた。
それらは決して工具ではない、魔女裁判専用の拷問具だ。
良く見れば工具とは違い改造が施されているのが分かる。
「あなたは何者ですか?」
神裂は突然やってきた赤い少女に話しかける。
「解答一。
私はロシア成教の殲滅白書所属のミーシャ=クロイツェフ。」
「あなたは何をしにここに来たのですか?」
「解答二。
世界中に展開されている御使堕しの儀式場、及び術者を見つけ|御使堕し《
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