暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第29話
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何だ?と思わず腰を浮かせてすぐ足元の床板へと視線を向けた瞬間、ガスン!!と三日月のようなナイフの刃が足元の床下を貫通して突き出してきた。
上条は喉が干上がる。
それもその筈、足と足のわずかなスペースから刃物が飛び出している。
もし床下の音を無視して腰を浮かさなかったら、そう考えただけで全身の皮膚から気持ちの悪い汗が噴き出してくる。
三〇センチぐらいの長さの細長い三日月の刃はぎち、ぎち、と前後に軽く揺さぶられやがて床下へとゆっくり沈んでいく。
一刻も早くこの場から離れるべきなのに上条は動けない。
すると、わずかに空けられた床板の穴の奥からまるでかぎ穴から部屋の奥を覗き込むかのようにじっとりと、血走ったような、泥の腐ったような、狂ったような眼球が見えた。

「ひっ・・・」

上条は情けない声をあげて後ろへ下がった瞬間、後追いするかのようにナイフの刃が上条の足元すれすれの床下から飛び出した。
上条の足がもつれ床下の上に転がる。
ナイフの刃が再び床下に潜り、さらなる一撃の狙いを定める。

(落ち着け、落ち着け!!)

上条は呪文のように繰り返すがそれは余計に身体を縛り上げる。
とにかく床の上に倒れているのは危険すぎるので立ち上がろうとした時、ベキン!!と床下が大きく爆ぜ割れてそこから飛び出してきた腕が上条の足首を掴み取る。
得体の知れない衝動に上条の心臓が口から飛び出そうになる。
そして見てしまった、自分の足首を掴み取っている手を。
ある爪は割れ、ある爪は剥がされ、ある爪は黒く固まった血がこびりつき、指は内出血で青黒く変色し、手の甲は大きな傷のカサブタを何度も何度も剥がしてグチョグチョになった肉色の傷口が露出して
それはまるで、得体の知れない人食い細菌に侵された死人のように見えた。

「あ、ぅあ!い、ひっ、あ・・・・ッ!!」

呼吸がもつれ、心臓がおかしな動きを見せる。
襲撃者のナイフの刃が上条の胸に向かって振り下ろされる。
だが、横から別のナイフが襲撃者のナイフを受け止めそのまま上条の胸ぐらを掴み後ろに引っ張られる。
上条は自分を引っ張った人物を見るとそこにナイフを逆手に持っている麻生だった。

「落ち着け、相手は普通の人間だ。
 ステイルや一方通行(アクセラレータ)ような魔術や超能力は使えない。」

若干腰を落とし周りを警戒しながら麻生は言う。
とりあえず危機は脱出できたのを確認できると、少しずつだが上条の呼吸も心臓の動きも落ち着いてくる。
そして、襲撃者のナイフの刃が麻生の顔面に向かって飛び出てくる。
麻生はそれを自分の持っているナイフで受け止め、空いている右手で襲撃者の手首を掴む。

「さて、顔を見せて貰おうか。」

その時だった。
突然、「わだつみ」の入り口から赤い少女が
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