朝焼けの中で
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ヴォル君、おいし……」
美味しい? と神無は訊こうとしたが、聞くまでも無かったようだ。
ヴォルフは無言で、次々と口に入れている。食事に夢中のようだ。
「あ、箸は使えるんだ」
「ちょっと小冬? ヴォル君をどんな風に思ってたの?」
「野生人」
「……」
あまりの言葉に神無は二の句が告げられない。事実、ヴォルフは殆どをモンスターが闊歩する無人地帯で生活していた。野生人という言葉は当てはまっている。
「ん? 神無、この肉に掛かっている物は何だ?」
「あ、それは木豆から作ったタレでね、お肉に掛けると美味しいよ。煮た物にも焼いた物にも野菜にも合うの。食べてみて?」
ヴォルフはそれを聞くと、肉をタレに漬けて食べた。
一瞬固まるヴォルフだが、すぐに肉に添えられた生野菜をタレに漬けて食べ始める。どうやら気に入ったようだ。
「夢中になってますね。言葉よりも分かりやすいです」
夏空の言葉どおり、ヴォルフは言葉よりも行動で『美味しい』と言っていた。
神無は気に入って貰えたのが嬉しいらしく、ニコニコとヴォルフを見ている。
「これは何だ?」
「それは出し巻き卵だよ。昨日ヴォル君が見つけた金の卵から作ったの」
ヴォルフは神無の言葉で、昨日仕留めたガーグァの隣に居たガーグァが驚いて落としていった卵を思い出した。
実はヴォルフを運ぶ際に、朱美の仲間の一人が見つけて回収しており、その人物によって先程届けられたのだ。流石にガーグァの焼きかけの肉と、調理器具は未回収のようだが。
「あれが? 卵の中身は……」
「それを獣乳と混ぜてから焼くとこうなるの」
「技術が必要」
神無の言葉に小冬がジト目で神無を見ながら付け加える。専用の器具を使わずに、調理板と箸だけでここまで見事な出し巻き卵を容易に作れてたまるか、とでも言いたげだった。
「俺は今まで卵の何が美味いのか知らなかった……」
一口食べたヴォルフが呟く。目を見開いて『馬鹿な!?』とでも言いたいかの如く、驚愕を現している。
どうやら今まで生卵を食べていたようで、それもその口ぶりからあまり好きではなかったらしい。
「えっと、ヴォル君? 今まで何を食べてきたの?」
神無が遠慮がちに尋ねる。
「木の実や茸に魚、仕留めた獲物の肉を焼くか干して食っていた。人里に下りた時にその地の料理は食っていた」
一応料理を食したことはあるようだが、普段はかなり偏った食生活だったようだ。
『……』
その惨状ともいえる物を聞いた三人は、何と言えば良いのか分からず沈黙する。
「ヴォルちゃん。これからは美味しい物を食べさせてあげますね。お姉ちゃん、頑張っちゃいます!」
「私も頑張るからねヴォル君!」
「……私はどうしようもないかな」
「そ、そうか」
三者三様の言葉でヴ
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