朝焼けの中で
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外に出た神無の為にもう一度風呂を暖め直し、小冬に休息を促すのは夏空の姉としての優しさだ。
「神無と一緒に入る」
「あらあらまあまあ。それじゃあ私も」
「それだと狭くて入れないよう」
小冬の言葉に夏空が名案だと両手を合わせて言うが、流石に物理的に不可能なために神無に却下される。
「次回は私がやるから、その時に夏空は神無と入れば? それともヴォルフと入る?」
「ふええ!?」
小冬がニヤリと挑戦的な笑顔を浮かべ、神無は焦り、夏空はニッコリと微笑む。
「良いですねぇ。お姉さん、お背中流してあげますよう」
「ちょっ!? ダメだよお姉ちゃん!」
三人はそんな会話をしながら帰路に就いた。先程までの暗い雰囲気は跡形も無く消えていた。
夜が明ける頃、目を覚ました神無は朝食の準備をしていた。今日の料理番は彼女だ。村伝統の汁物の出汁を取り具である野菜を刻みつつ、御菜の小魚の佃煮と漬物を皿に盛り付けていく。
「うん?」
ふと外が騒がしい事に気付いた。何やら慌しく人が通り過ぎていくような音が聞こえる。
「何かあったのかな?」
神無は小首を傾げながら台所を出て玄関に向かい、戸を開けようと手を伸ばしたところで戸は勝手に開いた。
「わっ!?」
「きゃっ!?」
神無は戸が勝手に開いたことに驚き、戸を開けた人物は開けた戸の向こうに人が居ると思っていなかったので驚いたようだ。
「あ、木葉ちゃん。どうしたのこんな朝から?」
木葉と呼ばれたその人物は、赤紫と黒の衣装に身を包んだハンターギルド所属の少女だ。ショートボブの黒髪に軽く吊り上がった意志の強そうな瞳が印象的だ。
しかし、今の彼女は平静さを失い見るからに慌てている。
「神無ちゃん! あの人が! 昨日の怪我人が!?」
その言葉に神無は背筋が寒くなるのを感じた。昨日の怪我人といえばジンオウガと戦ったヴォルフしかいない。
「ヴォル君がどうしたの!?」
「実は……」
風が吹いた。
吹いた風に煽られて枝から千切れ飛んだ無数の枯葉が宙を舞う。
その全てを、弧を描く白刃が瞬く間もなく切り裂いた。
白刃を振るった者は半身を包帯で覆われていながらも、細身ながらその逞しい肉体からは怪我人であることを感じさせないほどに、活力に満ちていた。
風に靡かれて、金糸のような髪が流れるように舞う。
「駄目だな」
振るった刀を残心を持って鞘に収めつつ、ヴォルフは呟いた。ジンオウガの電撃によるダメージは抜け切っていない。ヴォルフは刀を振るったところでそれを理解した。
現に身体のあちこちに焼け付くような痛みが残る。狩場では傷の有無など構ってはいられないのだが今回のような大物を相手にする場合、こんな痛みに気を取られるよ
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