朝焼けの中で
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がこうなってしまった以上、今は様子見しかありません」
村長がそう言うと、その場が沈黙に包まれた。
「取り敢えず貴女達は今夜はお休みなさい。明日のことはまだ決まってすら居ませんが、休まなければ何も出来ませんわよ?」
「でも……」
「ヴォルフさんは私が看ておきます。大丈夫ですよ。」
村長の言葉に神無が何かを言おうとしたが、村長がそんな神無を嗜めるように言い、彼女は言葉が続かすに沈黙する。
「夏空さん。皆をお願いしますね?」
「はい」
年長者としての責任を果たせ、と言外に含まれている言葉に頷いた夏空は、神無と小冬を見回してから立ち上がる。
「梓さんと椿さんも」
「はい……」
梓はヴォルフを心配そうな顔つきで一瞥してから立ち上がり、椿もそれに続いて立ち上がった。
「神無ちゃん。小冬ちゃん。行きましょう?」
夏空の言葉に二人はしばらく動かなかったが、ゆっくりと立ち上がった。
「村長さん。ヴォル君を……」
「任せた」
「ええ。お任せください」
二人の言葉に村長は笑顔で頷き、それを確認した五人はこの部屋を後にした。
昼間のごとく照らし出された村の中を、神無たち五人は会話も無く、ただ歩いていた。
何かを言おうとしているが、言葉が出てこない。
やがて終着地点が来た。ハンターギルドの詰め所となる集会場だ。ここに梓と椿は寝床を用意しているのだ。
「じゃあ、また明日ね」
「またね……」
「……うん」
梓と椿の言葉に神無は力なく返事を返した。
「神無。彼はきっと大丈夫よ」
しかし、そんな神無に梓は敢えてそう言った。
「そうですよ。ヴォルちゃんを信じてあげましょう」
梓の言葉に夏空が続いた。
「お姉ちゃん?」
「神無ちゃん? ヴォルちゃんが良くなって欲しいのは皆一緒なんです。でもね、私達が沈んでいちゃダメなんだと思います。だから、皆でヴォルちゃんを信じてあげましょう」
「そう。まずは私達」
夏空の言葉に小冬も同意する。夏空はいつもの柔らかい笑顔を浮かべ、小冬もいつもの挑発的な笑みを浮かべる。
「そう、だよね。まずは私達が信じてあげないとね」
「明日にはぁ、起きてるかもしれないしぃ」
「……ありそうね、それは」
神無の言葉に椿が間延びした声で言うと、梓が少し間を置いてから呟くように言った。
「……そうなると良いわね。神無」
「うん。ありがとう梓ちゃん。じゃあ、また明日ね」
梓の言葉に神無は少し笑顔を取り戻していた。
「またねぇ」
「はい、また明日」
「お休み」
「じゃあ」
神無の笑顔を確認した梓と椿は集会場へ入って行った。
「さて、私達も戻りましょうか。神無ちゃん。お風呂を沸かし直してあげますから入ってくださいね。小冬ちゃんは休んでも良いですよ」
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