第二十話〜お見舞い〜
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後のあれだけで失敗とみなし満足を一切していないそんな彼の感性に。
ここでティアナは思ってしまう。「ライと自分の努力は質が違う。」と。そして最近感じる劣等感などもありティアナは自然とライに訪ねていた。
ティアナ「どうして貴方はそんなに強いんですか?」
ライ「え?」
虚を突かれた表情をするライ。
ティアナ「あ、えと…その……」
自分が何を言ったのか理解したティアナは口ごもるが、ライは右手を顎に添え真剣に考えている。ライの真摯さを感じ、ティアナはじっとライの答えを待つ。
ライ「譲れないものがあったから……かな。」
ティアナ「譲れないものですか?」
ライ「うん。守りたいもの、貫きたい信念、なすべき使命…細かい理由は置いておくとして、それを果たすために必死になっているだけなんだと思う。」
ティアナ「それがあるからライさんは強いんですか?」
ライ「……僕は強くなんかないよ。」
ティアナ「…それは嫌味ですか。」
ライ「少なくとも僕は自分を強くないと思っているよ。」
その時のライの表情は一言では言い表せないほど複雑な表情をしていた。自嘲、後悔、未練。そんな負の感情を織り交ぜた笑顔。その表情があまりにも痛々しくてティアナはさらに尋ねていた。
ティアナ「何故?」
ライ「僕は守るために傷つけるしかなかったから。」
ライの口から自然とついて出た言葉。そこにどんな気持ちが込められていたのかティアナには読み取ることができなかった。
その後、二人は特に言葉を交わすことなくティアナのお見舞いは終了した。
ティアナが退室した後、今まで静粛を保っていた蒼月がライに語りかける。
蒼月「大丈夫ですか、マスター?」
ライ「……」
蒼月「マスター?」
ライ「蒼月、君には全て話しておきたい。」
蒼月「……」
ライ「それを聞いた後、僕のことが信じられなくなったら僕のパートナーをやめてもいいだから――」
蒼月「マスター。それ以上は怒りますよ。」
ライ「……ありがとう。」
そしてライは語りだす。自分が歩んだ道のりを。
機動六課・訓練場
ライの病室にティアナが訪れてから数日が経った。今ではライの怪我も完治し訓練に参加している。今は模擬戦でライとシグナムが剣を交えている。
鉄を打つ澄んだ音が剣を交えるたびに響く。ライは冷静な判断と戦略を頭の中で組み立てていくため表情はあまり変化していない。それと比べシグナムの表情は笑顔。しかしそれは女性が浮かべるような物ではなく戦士が浮かべる笑み。強者と一秒でも長く打ち会えることへの歓喜。そんな気持ちがにじみ出ている表情であった。
シグナム「ハアーーー!」
気合の掛け
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