第二十話〜お見舞い〜
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アナである。だが彼女はいざ病室の前まで来ると思うところがあるのか尻込みしてしまっていた。
永遠に続くかと思われたそれは病室から聞こえる音によって破られることになった。
ティアナ「……何この音?」
それは何かがぶつかり合う音。少し気になったティアナは思い切って目の前の扉をノックした。勇気を振り絞り逃げ出したくなるのを堪え返事を待つ。しかし帰ってくるのは先程から聞こえてくる音のみである。
ティアナ「?」
いつまでもこのまま立っている訳にもいかないと思い、取り敢えずライがいるのかいないのか確認しようと病室の扉を開ける。
ティアナ「え」
彼女は部屋の中を見た瞬間、正確にはライを見た瞬間に目を奪われた。
先程から聞こえていた音の正体はビー玉程の大きさの玉同士がぶつかり合う音である。なぜそれがわかったのか。答えは簡単、目の前で弾かれているからである。ただそれは普通とは違う。ぶつかる場所は空中。さらにベッドで上半身を起こして座っているライの周りを囲むように弾かれている。
ライの周りを舞っているのはその玉だけではない。その玉と同じぐらいの大きさの魔力球が同時に舞っている。
玉は時に魔力球に弾かれ、時に他の玉とぶつかる。それを繰り返し行い、ライを囲うような軌道を描いていく。
ティアナ「綺麗……」
自然とそんな言葉が溢れる。無意識に漏れた言葉に彼女自身も気づかない。いつまでも見続けていたくなるその光景を見ていると、ライが右手少し持ち上げ、手のひらを上に向ける。そしてそれと同時に魔力弾以外の玉が3つ同時にライの手のひらの上でぶつかる。いやぶつかるはずであった。しかし3つの内の1つだけタイミングがズレ、ライの右手には玉は収まらずそのまま床に落ちる。
ライ「まだ甘いか。」
その結果に不満なのか、ライは1つため息をつく。
ライの言葉でハッとしたティアナはライに声をかける。
ティアナ「ライさん。」
ライ「うん?ティアナ、いつからそこに?」
よほど集中していたのかそんなことを言ってくる。
ティアナ「今来たばかりですけど、ノックしても返事が無くて勝手ですけど入らせてもらいました。」
そう言いながら、床に落ちている玉を拾いライに手渡す。
ライ「ありがとう。それとごめん、ノックに気づかなくて。」
ティアナ「いえそんな……ところで今のは何ですか?」
ティアナはここにライと会うことに悩んでいたことすら忘れ尋ねる。尋ねられたライは苦笑しながら答える。その表情は恥ずかしいものを見られたのを取り繕うとするような笑顔。
ライ「マルチタスクと魔力制御の練習をしていたんだよ。失敗しちゃったけど。」
ライの言葉にティアナは驚く。あれができることもそうであるが、最
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