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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
15.キメラの産声U
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能性が高い。しかも帝都防衛隊に参加できているということは、帝国の上層部との繋がりもあるかもしれない。仮にそうだったとしたら早急に背後関係を掴まなければ…。
南光一郎。記録は佐渡基地での10年程度しかないが情報省の調査によると父親は国粋主義の過激派で、息子である光一郎も志願するまでは父親の運動を手伝っていたようだ。太平洋戦争による敗戦から五十年近く経ち敗戦のショックから立ち直った今日、BETAという未曽有の脅威に瀕し、カリスマ性があり強力な指導者である将軍家を中心とした旧来の支配層に心酔し右翼運動に傾倒している人間は多い。さらに軍事面から見てもアンバランスな同盟関係に、F-4<ファントム>輸入の納期遅れなどの問題から反米の気運が高まっている。しかし今の帝国における将軍家の実質的な力は戦前、戦中とは比べ物にならないほど小さい。国民の感情はともかく、民主主義によって成立している現政府は日本の中枢なのだ。過激派右翼の運動に国民が同調すれば、情勢が不安な国家において大きな火種となりうる。
日本帝国は政治的、軍事的に不安定な国だ。敗戦後の米国との軍事同盟、政府と将軍家、帝国軍と斯衛、その他にも挙げればきりがないほどの不安要素を抱えている。極端な国粋主義による社会情勢の不安定が、それらの要素に火をつけてしまえばこの国はバラバラになってしまう。早急な対処が必要だろう。
そして遠田巧。基礎訓練を含めて訓練を1年で修了した若き天才衛士。遠田技研という兵器メーカーを背負うだけあって技術系の技能にも優れている。厚木基地における日米合同演習では圧倒的な性能を誇る米国のストライクイーグルに一矢報いており、関係者達の評価は軒並み高い。
しかしその異常ともいえる優秀さが今回キメラ隊に加えられた理由の一つだ。彼は幼少から衛士になるための英才教育を受けてきている。そして彼のバックにある遠田技研は、米国のノースロック社と秘密裏に戦術機開発における交渉を行っていたことが確認された。調べてみると遠田技研では富嶽、光菱、河崎と言った戦術機メーカーとの差を埋めるべく様々な工作が行われているようだ。遠田巧が受けてきた英才教育も、衛士として軍の内部に食い込むためもののだと言われている。
これらの情報を統合すると遠田巧から帝国の新型戦術機の情報を受け取った遠田技研が、米国兵器メーカーとの交渉を再開する可能性が浮かび上がる。そうなったときの経済的、軍事的損害は大きい。優れた兵器は経済を支える商品であり、国防の要でもあるのだ。軍事同盟を結んでいるとはいえ、それが米国に流出してしまうのは非常に危険だ。彼が戦術機情報を始めとした機密を持ち出さないか見張る必要がある。
しかしこちらに来て思ったのだが、最も注意すべきは技術廠参与として派遣されている岩崎慎二ではないのか?情報省の要監視リストにはなかったが
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