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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
14.キメラの産声T
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部分に散りばめられた板状のパーツや複碗の長刀を見ると各部分の稼働領域も衛士は細かく計算しないといけないでしょう。戦術機側の自動制御で補うこともできますがより多彩な機動を取るためには衛士が気流を理解して、機体の体勢を常に頭で計算しなくてはならないと思います。複腕の長刀も今までの常識を覆すものなので、使いこなすには相当な訓練がいるでしょうね。それに伴って腕部の重量が増しているようなので従来機よりも腕を使った精密な操縦が難しそうです。」
 巧が容赦なく意見を言う。それを聞いているうちに美鈴の笑顔が能面のように固まってきた。先ほどと同じに見える笑顔だが、目が笑っていない。気のせいかもしれないが気温が下がり、額に欠陥が浮かび上がっている気がする。
「つまり………欠陥機だと?」
「いや、違います。あくまでも上級者向けということです。さっき言ったことは確かに兵器としてはデメリットですが、一定の条件をクリアしたときこの戦術機は化けますよ。推進剤の減りは少ないでしょうし、複腕の長刀はBETAとの近接戦では革命的な戦闘力を発揮するはずです。長刀を複腕に装備しているために背部の兵器担架には突撃砲を装備できるので、実質の兵器保持数は6です。それにおそらくあの板状パーツは他の物と材質が違いますね?密集戦でBETAを切り裂く狙いもあるんじゃないですか?」
「素晴らしいです遠田少尉!ええ、あのパーツはブレードベーンと言いまして、我が社が開発した新しい複合材が使用されています。スーパーカーボンほどではありませんが非常に硬度が高いものです。また複腕に装備されている長刀も薄く、細くなっていますがこれは我が社の新技術で進化したスーパーカーボン成形技術の賜物で、従来よりも重量を落とし扱いやすくした上に、耐久性は大差ありません。複腕に装備する都合上、多少長さは短くなっていますが、きちんと使えば要塞級の首も落とせます!すでにシミュレーターで確認しましたがこうスパッと、サクッと野菜を切るように首を落としていました…。その圧倒的な近接戦闘力を持ちながらこの洗練された美しい姿。ああ美しい、美しいわ私の夕雲…。フフフフフフ、他の二機になんか負けませんよ〜。」
 何かつぼに嵌ったのか恍惚としてアブナイ笑みを浮かべて暗く笑う美鈴。その様子に若干引きながらも気になることを言っていたので巧は聞いてみることにした。
「わが社?それに他の二機とは?」
「ああ!すいません!戦術機の話になるとつい…。コホン、えーっとそれはですね、あとで説明があると思いますが―」
「こんなところにいたのかね?遠田巧少尉。上官への着任挨拶に来ないで女とおしゃべりとは良い身分だな?」
 美鈴がニヤケた顔を引き締め説明しようとしたとき背後から声をかける者がいた。



岩崎慎二side

 技術廠の会議で遠田のガキを
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