暁 〜小説投稿サイト〜
MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
14.キメラの産声T
[2/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
れている。その任務は帝国軍の新型戦術機の機動実験、試験運用である。巧はまだその詳細な内容を知らされていなかったこともあり、早く自分の乗ることになる機体を早く見たかったのである。
「ええっと……J93ハンガーだから……おっ、ここか!」
帝国軍用ハンガーのさらに奥にキメラ中隊の戦術機ハンガーはあった。そこに見たこともない機体が立っている。周りに立ち並ぶ撃震の重厚さが表れているフォルムとは全く違う、どちらかというと陽炎よりの形をしている。しかし陽炎と違うのは戦闘機の翼を彷彿させる板状のパーツが随所に散りばめられているところか。特に頭部のセンサーマストは大きな違いだ。また脚部はエッジの利いた造りをしており、膝部分の予備弾倉収納部分がなくなっている。おそらくこのシャープなフォルムは跳躍ユニットを使用した時の空力利用を狙っている。使いこなせなければ気流によって機体が操縦通り動かないが、使いこなせれば推進剤を効率的に利用でき細かい制動も可能になるだろう。さらに複腕には改造されたのか、形状が違う長刀が逆手の形で保持されている。兵器担架システムも従来機とは全く違うようだ。
「帝国軍新型試作戦術機五型―夕雲を見た感想はどうですか?遠田巧少尉。」
巧がまじまじと戦術機を眺めていると後ろから声をかけられた。振り返ると如何にも楽しげと言った様子の女性がいた。肩口まである緑っぽい髪を後ろに束ねた眼鏡美人である。スッキリとした女物のスーツを着込んでいて、ニコニコと笑って穏和な空気を纏っているが目の輝き方が尋常ではない。
「あ、あの…どちらさまで?」
巧は会ったことはなかったが雰囲的に上官に見えず、つい普段の口調で話しかけてしまう。何というか軍隊らしさを感じない女性なのだ。
「西谷美鈴。特別試験中隊―キメラズを担当する技術士官です。階級は一応中尉。」
「中尉殿でありましたか!?申し訳ありませんでした!」
上官と知って背筋を正す巧。冷や汗が流れ、少し震えている。知らなかったとは言え上官に『どちらさまで?』などというふざけた言葉を使ったら殴られても文句はいえない。軍隊で培った習性からか、巧は無意識に歯を食いしばっていた。
「緊張しないでください。階級は中尉ですけど戦闘訓練は受けていないし、軍人って言う意識はあまりないんです。立場上は帝国軍ですけど、実際は河崎重工からの派遣社員なんです。だから軍隊というものには慣れていないので、私のことは上官ではなくアドバイザーと思ってください。」
「分かりました。では西谷さんと呼ばせてもらいます。よろしいですか?」
「はい。それよりも遠田少尉、夕雲を見た感想はどうですか?実は私これの開発スタッフでして、少尉の意見を聞きたいと思っていたんです。」
「そうですね…。上級者向けの機体だと思います。形状からして空力による制御は必須。各
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ